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【POP SONG/米津玄師】コード進行と分析

PlayStationのCMソングとして起用された米津玄師の『POP SONG』。

遊び心あふれるMVに演奏。ダークな世界観の正体をコード進行を軸に分析していきましょう。

ここからの内容は、er-music編集部の独自の見解になります。 読者様との解釈に相違がある場合も、考え方の一例、また娯楽の一環としてご覧ください。 また、ダイアトニックコードの理解があるとより楽しめるかと思います。 >>ダイアトニックコードについて

全体を通して

この曲の情報

作詞/作曲:米津玄師

キー:F#m

BPM:110

発売:2022年2月7日

エレクトロスウィング感が強い一曲です。シンセベースが土台にあるものの、使われている楽器、コードはジャズの雰囲気を作り出しています。
まれに聞こえるアコースティックな音色やフレーズは、フランス発祥のジプシージャズな要素も感じます。

ハネたリズムは愉快ですが、怪しげのあるコードとメロディが、道化のような人物像をイメージさせます。MVとピッタリですね。

※楽曲のキーは『F#mキー』ですが、平行長調の『A』を”Ⅰ(トニック)”として表記しています。

イントロ(pop song)

popsongのイントロ楽譜

コード進行・2小節目【F#m7 – Bm7 ~~】

このコード進行はダイアトニックコード上で、4度進行を繰り返しぐるぐると循環させていくものです。
一曲を通して、このイントロのコード進行パターンが頻繁に使われます。

jpopで言えば、西野カナの『会いたくて』が同じパターン。
ラテン感の強い、ポルノグラフィティの『アゲハ蝶』も近しいパターンです。

若干進行が違いますが、ジャズスタンダードとして有名な『枯葉』も4度進行で循環します。非常にジャズらしい進行です。

フレーズ

コードトーンを意識して作られた規則性のあるフレーズです。

ペンタトニックや単純にF#mスケールで無秩序に奏でるフレーズよりも、コード感が出るためにジャズらしくなります。

Aメロ(pop song)

popsongのAメロ楽譜

コード進行

コード進行はイントロの後半部分と同じです。

上の4小節をそのまま2回繰り返し、Bメロはと進みます。

メロディーの特徴

スケールになぞって順次上行、下行していくメロディーラインが特徴的です。
メロディーが跳躍する箇所がなく、激しさは感じない比較的落ち着いたセクションとなっています。

メロディーの上行は『明るさ』あるいは『緊張感』を感じ、下行は『暗さ』あるいは『落ち着き』を感じさせます。

上行は『緊張』、下行は『落ち着き』を表現しているとして、色分けをしてみると、それぞれ交互に繰り返していることがわかります。

Aメロ部分のメロディ構造

メロディーを小さくパーツ化したものをモチーフと言いますが、前半2小節でも上行の『モチーフ1』、下行の『モチーフ2』を交互に使うことで、「打消し」と「秩序」が生まれています。

この部分の解釈
6音以上の順次進行メロディーですので、強い緊張感が走ります。
それを打ち消すように下行のメロディーが、強い落ち着きを感じさせます。
感情をかき乱されるような、行ったり来たりのメロディー変化で、曲調や歌詞と相まって「なにか踊らされている」ようにも感じました。

Bメロ(pop song)

popsongのBメロ楽譜

popsongのBメロ後半の楽譜

基本のコード進行は変わりません。

9小節目【F#m – G#m7-5 – F#m/A – Bm7】

コード進行のルートを見ればF#mからスケールに沿って上行している進行であることがわかります。

『F#m/A』としていますが、A6と同じ構成音です。

これまでの決まりきったパターンを打開する進行かつ、コードの変化も目まぐるしく、サビへの展開を予想させます。

10小節目【C#7 – F#7】

F#7』がきっかけとなり、サビの調(Bm)へと転調します。

F#7は、BmキーにおけるⅤ7です。
加えて、F#mをトニックとしてみれば下属調への転調ですので、比較的違和感なくスムーズに進行できます。

実際にはBmへと進行せず、BmキーのⅣであるGM7に進行します。

サビ(pop song)

popsongのサビ楽譜

1〜2小節目

ダイアトニックコード上で4度進行を繰り返します。

最初のGM7→C#m7-5は増4度上への進行となりますが、シンプルにダイアトニックコードをなぞった進行です。

3小節目

A#dim7は、進行先のコードに対するドミナントコードの代理コードです。

dim7は半音上のコードへ進むときに大きな解決感がうまれます。

ここではDに進みますが、A#dim7はC#dim7と全く同じなので、DとF#m、どちらのトニックへもスムーズに進むことができます。

コード 構成音
A#dim7 A#,C#E,G
C#dim7 C#,E,G,A#
この部分の解釈
A#dim7とC#dim7が同じ構成音とはいえ、A#dimはBへの進行を強く予感させます。
この曲全体に蔓延る「暗さ」や「怪しさ」の表現として、マイナートニックを意識させるコードを多用しているように感じました。

メロディーの特徴

ここまで、順次進行やネイバートーンを使った「跳躍のない」メロディーが主体となっていました。

サビでは、冒頭から『シ→ファ#』の跳躍があり、躍動感あふれるサビらしい演出となっています。
サビを際立たせるために、AメロBメロは意図的に隣合う音を使ってきていると考えられます。

えるるん
サビでメロディーの大きな跳躍をする曲はよくあって、例えば『Ado/うっせぇわ』は1オクターブも跳躍している。
それに比べれば小さめの跳躍でも、AメロBメロと相対的に見れば、サビらしい目立つメロディーになる。
『うっせぇわ』ほど激しくはないけど、ちゃんと目立つしコンパクトでクールにも感じる!

間奏(pop song)

popsongの間奏楽譜

ルート音は単純に下降していくコード進行ですが、『D7』が裏コードとなっています。

裏コードは、進行先のコードの半音上のセブンスコードのことです。

裏コードの正体は、次のC#7に対するセカンダリードミナントにテンションを加えたもの『G#7(♭9)』のルート省略型です。同じトライトーンを含むため代理のコードとしてよく利用されます。

コード 構成音
G#7(♭9) G#,C,D#,F#,A
D7 D,F#,A,C,

オルタードテンションが含まれ、クロマチックなアプローチにもなるためジャズの雰囲気が増します。
加えてF#mのドミナント『C#』に対するドミナントなので、F#mキーの暗さ、怪しさがより際立ちます。

まとめ

マイナーキーの暗いコード進行に、上行メロディーやそれを打ち消す下行メロディーから、怪しい世界観が見えてきました。

メロディーラインは、大きな跳躍がない部分が多く、サビでも最小限に抑えられています。
そこに、主人公の「クールさ」というか、「余裕感」のようなものまで感じました。

ジャズにエレクトリックなサウンドを織り交ぜた、エレクトロジャズチックな演出もこれまでのJPOPにはなかなかない、斬新な作りとなっています。

日本を代表するゲーム機のCMにふさわしい、遊び心を感じる一曲でした。

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