ダブルドミナント(ドッペルドミナントとも言う)は、コード進行上でのあるコードの呼び名です。ジャンル問わずよく使われています。
ダブルドミナントという固有の呼び方がありますが、セカンダリードミナントの一種です。
セカンダリードミナントから先に理解したい方はしたの記事をご覧ください。
ダブルドミナントとは
ダブルドミナントとは、ダイアトニックコード上の通常のドミナント(CメジャーキーでいうG)を一時的なトニックと見立てた際にドミナントに当たるコードです。
例えば、Cメジャーキーでは主音Cの五度上のG(あるいはG7)がドミナントに当たります。ダブルドミナントは、Gからさらに五度上のD(あるいはD7)になります。
Ⅱmをメジャーに変えたもの
ダブルドミナントは、ダイアトニックコード上のⅡmがメジャートライアド(あるいはセブンス)に変化したものです。
Ⅱmのローマ数字について
ドミナントへの進行を予感させるコード
そのため、Vの場合はⅠへ、Ⅱの場合はⅤへ進行しやすくなります。
ダブルドミナントが使われた楽曲例
ダブルドミナントがどのように使われているのか、JPOP有名曲のコード進行から見ていきましょう。
- HANABI/Mr.children
- 元気を出して/竹内まりや
HANABI/Mr.children
キーはD♭メジャーで、本来のドミナント(V)はA♭に当たります。
3小節目のE♭7(II7)がダブルドミナントに当たり、A♭へそのまま進行しています。
元気を出して/竹内まりや
キーはCメジャーで、本来のドミナント(V)はGです。
Aメロの3小節目D7(II7)がダブルドミナントに当たります。
特徴的なのは、4小節目でベース音がGへ動いていますがコードは『Dm7→G7』と進行しています。
このように、ダブルドミナントの後にIIm7→V7のようなツーファイブと呼ばれるコード進行を差し込むパターンはよくあります。
ダブルドミナントの使い方
前章で紹介したダブルドミナントの使用例を参考にダブルドミナントの使い方を考えていきましょう。
「コード進行にどうやって組み込むのか」「どのように組み込むのか」イメージを持てるよう解説いたします。
ダブルドミナントの使い方
- Vに向かうⅡmをダブルドミナントに変える
- Vの前にダブルドミナントを挿入する
- ダブルドミナントの後にIIm→Vを入れる
- VImの後にダブルドミナントを入れる
Vに向かうⅡmをダブルドミナントに変える
コード進行の中でIImにあたるコードを強引にダブルドミナントに変える方法です。
もともとダブルドミナントが使われていない以下のようなコード進行に、ダブルドミナントを組み込みます。
Vの前にダブルドミナントを挿入する
先程はIImをIIに変換しましたが、IImがなくてもVの前であれば挿入しやすいです。
ダブルドミナントの後にIIm→Vを入れる
挿入したダブルドミナントの後すぐにVへ進まずに、IIm→Vの進行をとるケースがよくあります。
前章で例に挙げた『元気をだして』がこのような進行をとっていました。
VImの後にダブルドミナントを入れる
最後はダブルドミナントを入れる前のコードにも気を使ってみましょう。
よく見るコード進行として『VIm→II→V』があります。
VImのもつ暗さをダブルドミナントで跳ねのけるようで、陽気さを感じます。

まとめ:ダブルドミナントを自由に使おう
ダブルドミナントは、ドミナントを一時的なトニックと見立てた際のドミナントに当たるコードでした。
『ドミナントに対するドミナント』と言い換えることもできますね。
また、通常のドミナント(V)はプライマリードミナントと呼ばれていて、ダブルドミナントのようなその他のドミナントをセカンダリードミナントと呼びます。
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この記事では、ダブルドミナントが使われた楽曲や使い方を紹介しましたが、必ず同じようにする必要はありません。
まずは自由にダブルドミナント(II)を取り入れてみましょう。