【さよならべいべ/藤井風】コード進行と分析

『さよならべいべ』は、藤井風さんの一作目のアルバム『HELP EVER HURT NEVER』に収録されている楽曲です。
アルバムの中でも特に異彩を放つ、ギター中心のロックナンバーですね。

今回も、コード進行を軸に分析していきましょう。

ここからの内容は、er-music編集部の独自の見解になります。 読者様との解釈に相違がある場合も、考え方の一例、娯楽の一環としてご覧ください。 また、ダイアトニックコードの理解があるとより楽しめるかと思います。 >>ダイアトニックコードについて

全体を通して

別れの悲しみを感じさせる切ないコード進行にメロディーから曲が始まります。

サビでは、悲しみを受け入れ生きていく、力強さを感じます。
希望的なコード進行と、ロックなアレンジが相まって、AメロBメロ「落ち着き」「暗さ」をはねのけています。
胸が熱くなる感動的な展開です。

イントロなしでAメロから始まるパターンで、冒頭から主人公の感情にのめりこむことができます。

えるるん
曲の世界観よりも、主人公目線で聴かせる工夫も感じたよ!
この部分の解釈

最近の曲でいうと、『ノンフィクション/Saucy Dog』もAメロから始まる楽曲でした。
冒頭の歌詞を見てみると、主人公の一人称視点であることがわかります。

世界観に没入』させるのか、『人物に感情移入』させるのか。
どちらに重きを置くかで構成を変えてみてもいいかもしれませんね。

Aメロ

楽譜Aメロ

1~8小節目

コードBm7→Bm7/E→Amaj7(9)→F♯7(♭9)→Bm7→Bm7/E→Amaj7(9)
ディグリ ー表記Ⅱm7→Ⅱm7/Ⅴ→Ⅰmaj7(9)→Ⅵ7(♭9)→Ⅱm7→Ⅱm7/Ⅴ→Ⅰmaj7(9)

「来んと思った」のアウフタクトから始まるAメロ。

1~3小節目と5~7小節目のⅡm7→Ⅱm7/Ⅴ→Ⅰmaj7(9)ツーファイブワンですが、本来V7があるはずの部分にはⅡm7/Ⅴが使われています。

Ⅱm7/ⅤはV7の代わりに使われるオンコード

ポップスにおいてもよく使われるコードで、ドミナントとして機能しながらもⅤ7ほど緊張感がなく、Ⅱm7からの動きが滑らかで且つ浮遊感のある響きを持ったコードです。

4小節目のⅥ7(♭9)セカンダリードミナント

に向かうドミナントコードであるため、5小節目のⅡm7に対して滑らかにドミナントモーションしている進行です。

Bメロ

楽譜Bメロ

1~8小節目

コードGmaj7→F♯m7(9)→Gmaj7→F♯m7(9)→Em7→Em7/A→Dmaj7(9)→Aadd9/C♯→Bm7→Amaj7→G♯m7(♭5)→D/E
ディグリ ー表記♭Ⅶmaj7→Ⅵm7(9)→♭Ⅶmaj7→Ⅵm7(9)→Ⅴm7→Ⅴm7/Ⅰ→Ⅳmaj7(9)→Ⅰadd9/Ⅲ→Ⅱm7→Ⅰmaj7→Ⅶm7(♭5)→Ⅳ/Ⅴ

 

1小節目の♭Ⅶmaj7モーダルインターチェンジによって同主短調から借用してきたコード。

Ⅴm7→Ⅴm7/Ⅰ→Ⅳmaj7(9)の部分はⅣをⅠと見立ててツーファイブワンをしていると解釈できます。

Ⅴm7/ⅠはⅣへ向かうドミナントの役割をもっており、Ⅴm7Ⅴm7/Ⅰに向かうリレイテッドⅡm7と考えられます。

Ⅰadd9/ⅢはⅠadd9の長3度の音をルートに持ってきた第一転回型のコード。

藤井風さんがよく使われるコードで、「帰ろう」や「優しさ」、MISIAさんへ楽曲提供した「Higher Love」でも聴くことができます。

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サビ

楽譜サビ

1~8小節目

コードAadd9→Eadd9/G♯→Bm7→F♯m7(9)
ディグリ ー表記Ⅰadd9→Ⅴadd9/Ⅶ→Ⅱm7→Ⅵm7(9)

サビの1~8小節目は4つのコードを2小節ずつコードチェンジする緩やかな進行になっています。

3・4小節目のⅤadd9/ⅦはⅤadd9の長3度がルートになっている第一転回型のコード。
ⅠからⅦへベースラインを半音で滑らかに動かしたいときによく使われます。

9~16小節目

コードBm7→Bm7/E→Dm6→C♯m7→F♯7(♭9)→Bm7→C♯7(♭9)→F♯m7(9)→F♯7(♭9)
ディグリ ー表記Ⅱm7→Ⅱm7/Ⅴ→Ⅳm6→Ⅲm7→Ⅵ7(♭9)→Ⅱm7→Ⅲ7(♭9)→Ⅵm7(9)→Ⅵ7(♭9)

10小節目のⅣm6サブドミナントマイナー

11~13小節目のⅢm7→Ⅵ7(♭9)→Ⅱm7はすべてドミナントモーションしており、進行感の強いコード進行になっています。

14・15小節目のⅢ7(♭9)→Ⅵm7(9)は平行短調のⅤ→Ⅰであるため、明るくも切ないサビの雰囲気から、一気に暗い終わり方をしています。
しかし16小節目では、Ⅵm7(9)Ⅵ7(♭9)へと変化し2番のAメロへとつながっていきます。

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