2022年に突入した段階でyoutube再生回数8,000万回に近づくYOASOBIの群青。
難しい転調などはない曲ですが、コード進行からどれほどの作曲意図を深ぼることができるでしょうか。
全体を通して
イントロがなく、頭サビでも無い。Aメロから始まる、比較的珍しい構成をした楽曲です。
最近で言えば、SaucyDogのノンフィクションもAメロから開始する構成でした。
位置的にはBメロに当たるセクションも、Jpop的なBメロの使い方(Aメロとサビの橋渡しの役割)でなく、もっと独立したセクションに感じます。
どのセクションもそれぞれ色が強く、どこを切り取っても別々の曲としても機能しそうな完成度が高いものとなっています。
Aメロ
3小節目(D7→D7/G♭)
D7は、Gmへ向かうドミナントコードでは。
通常のマイナーキーでは、V(5番目のコード)は『○m』コードになりますが、ハーモニックマイナースケールから借用して、V7(ここでいうD7)を使うことはよくあります。
D7/G♭は、D7の第一転回系と呼ばれるコードです。D7の構成音G♭がベース音音となることで、Gmに半音で進行するようになります。
よりGmへ進むことを予感させます。
8小節目(B♭7)
B♭7は、つぎのE♭M7へ向かうセカンダリードミナントコードです。
セカンダリードミナントコードは、次のコードを一時的なトニックコードに見立てて、ドミナントコード変換させたものです。
Bメロ
2小節目(B♭)
ここまでくらい響きが続いてきましたが、Bメロでは『B♭』に解決するため、明るい印象を得ることができます。
曲全体を見ると、間奏やサビのメロディーもB♭に解決する動きをとっています。
最後も伴奏こそ消えますが、B♭に解決しているため、この曲はGmキーではなく、B♭メジャーキーであることがわかります。
8小節目(D7)
この曲がメジャーキーだとするならば、Aメロにも出てきたD7は、通常のドミナントではなく、セカンダリードミナントと解釈する方が安全です。
一時的にGmの響きを強めるため、Dmコードをドミナント化しているイメージです。
サビ
9小節目から4つ打ちのビートとなり疾走感が出てきます。
1〜4小節目
ベースが動いたり、オンコードが出現したりと、コードだけみると一見分かりづらいですが、王道進行がベースにあることがわかります。
4小節目(B♭/F)
B♭/Fは、B♭の第2転回系です。
ベース音Fを経由することで、Gmから5小節目のE♭M7への動きがスムーズになります。
8小節目(Fm→B♭)
Fmの次はB♭、そしてE♭M7と進んでいきます。解決先のE♭を軸にみると、E♭を一時的なトニックと見立ててツーファイブのモーションを取っていることがわかります。
間奏
ギターのカッティングが加わり、爽やかに疾走感のあるセクションになります。
サビ後半で得たスピード感を損ねずに、Aメロにつなげていきます。
Bメロに近い進行をしているのも特徴で、のちのエンディングセクションも同じような進行をしています。
Bメロが、単なるBメロでなく、曲の土台となっているセクションにも感じます。
もしかしたらBメロが最初に作られた曲なのかもしれません…