Tai Chi / liquidsonics セール価格推移 と特徴

Liquidsonicsの「tai chi」は、同社の高品位なリバーブエンジンを基に、マルチバンド処理やダイナミクスといった強力なツールを統合したクリエイティブリバーブです。静的な空間表現を超え、サウンドを動的に、そして音楽的に彩るための新次元のサウンドデザインツールと言えるでしょう。

tai chi の主な特徴

tai chiの主要なポイントを箇条書きで整理します。

• 周波数帯域ごとに減衰を制御するマルチバンド・リバーブ
• リバーブ音を音楽的にコントロールするダイナミクス機能（コンプレッサー/エキスパンダー）
• 豊かな広がりを生み出す高品位なコーラス・モジュレーション
• 緻密なステレオイメージングを実現する先進的なパンニング

マルチバンド・リバーブ

周波数ごとにリバーブの長さを自在に操る

tai chiの最大の特徴は、リバーブのディケイタイム（減衰時間）を複数の周波数帯域で個別に設定できるマルチバンド機能です。例えば、低域はタイトに響かせつつ高域は長く漂わせる、といった複雑な空間設計が直感的に行えます。これにより、ミックスの中でリバーブが濁る原因となる低域の響きを抑えたり、特定の楽器の倍音だけを強調したりと、より外科的でクリエイティブな音作りが可能になります。

ダイナミクス・プロセッシング

入力音に追従するインテリジェントなリバーブ処理

リバーブセクションにはコンプレッサーとエキスパンダーが統合されており、リバーブ音を動的にコントロールできます。最も代表的な使い方が「ダッキング」です。ボーカルが鳴っている間はリバーブ量を自動的に下げ、歌の終わりでリバーブが広がるように設定することで、明瞭さを保ちながら豊かな響きを得られます。他にも、クラシックなゲートリバーブのような効果も簡単に作り出せます。

コーラスとステレオコントロール

深みと広がりを付加する多彩なモジュレーション

内蔵のコーラス機能は、リバーブに深みと動きを与えるのに役立ちます。シンプルなパッドサウンドに適用すれば、より豊かで広がりのあるサウンドスケープを創出できます。さらに、Width（広がり）やBalance（左右バランス）を調整することで、リバーブのステレオイメージを精密にコントロールし、ミックス内での奥行きや配置を自在にデザインすることが可能です。

使用感とワークフロー

tai chiは、従来のリバーブでは複数のプラグインを組み合わせなければ実現できなかった処理を一台で完結させます。例えばドラムバスでは、低域のマルチバンド・ディケイを短く設定してキックの輪郭を保ちつつ、高域のディケイを長くしてシンバルのきらびやかさを強調する、といった使い方が非常に効果的です。

ボーカルトラックでは、ダイナミクス機能を使ったダッキングが威力を発揮します。複雑なサイドチェイン設定をすることなく、ボーカルの明瞭さを犠牲にせずに深いリバーブをかけることができ、制作のスピードアップに大きく貢献します。

Standard版とLite版の違いは？

tai chiには機能が豊富なStandard版と、より手頃なLite版が存在します。主な違いは以下の通りです。

• マルチバンド数: Standard版は4バンド、Lite版は2バンドです。
• ダイナミクス: Standard版はコンプレッサーとエキスパンダーの両方を搭載していますが、Lite版はコンプレッサーのみです。
• ステレオ・コントロール: Standard版はより高度なステレオ・パンニングモード（Width/Balance/Pan）を搭載しています。

システム要件

Mac

• OS: macOS 10.9 以降 (Intel & Apple Silicon)
• プラグイン形式: AU, VST2, VST3, AAX (64-bit)

Windows

• OS: Windows 7 以降
• プラグイン形式: VST2, VST3, AAX (64-bit)

※iLok 2/3 または iLok Cloudによるライセンス認証が必要です。

※要件はバージョンアップで変わる可能性があります。

総評：サウンドを彫刻する、新時代のクリエイティブリバーブ

tai chiは単なる空間シミュレーターではなく、リバーブというエフェクトを積極的に音作りに活用するための「サウンドデザイン・ツール」です。ミックスの明瞭さを向上させたいエンジニアから、ユニークでダイナミックな空間表現を求めるサウンドデザイナーや作曲家まで、幅広いユーザーにとって強力な武器となるでしょう。