UJAMから前代未聞の「リコーダー」特化音源登場!?
音楽制作プラグイン業界では、毎年4月1日になると各メーカーがこぞってユーモア溢れる「エイプリルフール企画」を展開するのが恒例行事となっています。過去にも様々なメーカーが、一風変わった製品やジョーク満載の動画をリリースして、私たちDTMerを楽しませてくれました。
そんな中、誰でも簡単にプロクオリティのサウンドを生み出せる「Frustration-Free」な製品で知られるドイツのソフトウェア・デベロッパー**UJAM(ユージャム)**から、世界中の度肝を抜く新製品が突如として発表されました。
その名も**「Beautyflute Pro」**。
名前だけ聞くと、まるで壮大で美麗なフルート音源のようですが、その実態はなんと**「リコーダー(縦笛)」**。しかも、ただのリコーダーではありません。「世界で最も美しく、最もエモーショナルなリコーダー・インストゥルメント」と銘打たれた本作は、誰もが小学校の音楽の授業で体験したあの「ピロピロ」という素朴(あるいは少し外れた)サウンドを、UJAM流の最先端テクノロジーでプラグイン化したという、まさに狂気と情熱が入り混じった意欲作(?)です。しかも**完全無料**で配布されるという大盤振る舞いです。
まずは、百聞は一見にしかず。UJAM公式が公開している破壊力抜群のデモ動画をご覧ください。
いかがでしたでしょうか。真面目な顔をして語る「UJAM Head Of Recorder Recording」のDEREK VON KROGH氏の解説と、そこから繰り出されるあまりにも生々しいリコーダーの音色。このギャップこそが、UJAMというメーカーの懐の深さと遊び心を表しています。
Beautyflute Proがもたらす「圧倒的エモーション」
「ただのジョークプラグインでしょ?」と侮るなかれ。Beautyflute Proは、UJAMのインターフェース設計のノウハウがしっかりと詰め込まれており、DAW上で鳴らすと無駄に高音質で、無駄に即戦力な仕上がりになっています。
ここでは、Beautyflute Proに搭載されているコアな機能とその魅力を深掘りしていきましょう。
3つの個性豊かなフルート・モデル
Beautyflute Proには、楽曲に合わせて選べる3つのキャラクターモデルが用意されています。
・Vanilla(バニラ): 最も標準的でプレーンなリコーダーサウンド。素朴でどこか懐かしい響きは、Lo-Fi Hip Hopのリードや、あえてチープさを演出したいポップスに最適です。
・Diva(ディーヴァ): まるでステージの主役のような、力強く自己主張の激しいモデル。少しビブラートが効いていたり、息づかいが荒々しかったりと、トラックの中で圧倒的な存在感を放ちます。
・Sisters(シスターズ): 複数のリコーダーを重ねたようなアンサンブル・モデル。コーラス効果が生まれ、意外にもシンセパッドやストリングスのような感覚で背景を埋める役割を果たしてくれます。ボタニカルなアンビエントジャムでも大活躍するはずです。
限界突破の「Emoçion」パラメータと3つの振る舞い
Beautyflute Proの真骨頂は、画面中央に鎮座する**「Emoçion(エモーション)」**と名付けられたノブにあります。これを回すことで、フレーズにどのような感情を乗せるかをコントロールします。さらに、その感情の表現方法(モード)を以下の3つから切り替えることができます。
・Delulu(デルル): 近年SNS等で「ハイパーポジティブな妄想」を意味するスラングとして使われる言葉。このモードでは、どこかフワフワとして地に足がついていない、夢見がちなリコーダーの音色が展開されます。
・Drunk(ドランク): その名の通り「酔っ払い」モード。ピッチが不安定になり、タイミングもよれていく様は、まさに千鳥足でリコーダーを吹いているかのよう。Lo-Fiやコメディ要素の強い楽曲で、絶妙な「外し」を演出できます。
・Tantrum(タントラム):「癇癪(かんしゃく)を起こした」状態。息を強く吹き込みすぎて裏返ってしまった音(オーバードブロウ)や、アグレッシブなリリース音が強調されます。ラテン音楽の情熱的なスパイスとして、あるいはパンクな楽曲のアクセントとして、予期せぬ破壊力を生み出します。
これらのモードとエモーション量を組み合わせることで、単なるサンプリング音源の枠を超えた、人間味(あるいはそれ以上の何か)溢れるパフォーマンスをDAW上に再現することが可能です。
空間を彩る内蔵アンビエンスとエフェクト
いくら素朴なリコーダーの音であっても、そこに極上のリバーブやディレイなどのアンビエンスを付加することで、サウンドは劇的に変化します。Beautyflute Proには、UJAMのFXプラグインシリーズで培われた高品質な空間系エフェクトやモジュレーションがプリセットとして組み込まれています。
ドライな状態では「小学生の縦笛」だった音が、アンビエンスを加えることで「深い森の奥で奏でられる神秘的な笛の音」や「宇宙空間を漂うシンセリード」へと変貌する瞬間は、まさに魔法と言えるでしょう。
Beautyflute Proの活用法とポテンシャル
一見すると出落ちのエイプリルフールジョークですが、Beautyflute Proは現代の音楽制作において、意外なほどの実用性を秘めています。
1. Lo-Fi Hip Hop / Chillhopのリード楽器として
Lo-Fiジャンルでは、ピッチが揺らぎ、ノイズが混じったアナログ感のあるサウンドが重宝されます。Beautyflute Proの「Drunk」モードを使用し、ローパスフィルターで高域を少し削るだけで、テープのワウターやフラッターをシミュレートしたような、極上のチルアウト・サウンドが完成します。
2. 劇伴や映像音楽でのコミカルな演出に
YouTube動画のBGMや、アニメーションの劇伴などにおいて、「間抜けな雰囲気」や「失敗した瞬間」を表現したい時、Beautyflute Proの絶妙な音痴加減は無類の強さを発揮します。リアルなオーケストラ音源では決して出せない「味」があります。
3. あえてのレイヤーで独特のテクスチャを構築
シンセサイザーの波形にBeautyflute Proのサウンドをうっすらとレイヤー(重ね掛け)することで、デジタルシンセにはないオーガニックな息づかいやアタック感を付加することができます。「Sisters」モデルを使い、深いリバーブと共にうっすらと背後で鳴らすことで、誰も聴いたことのない分厚いパッドサウンドを生み出すことも可能です。
まとめ:無料で手に入る、最高に美しい「遊び心」
UJAM Beautyflute Proは、ただ笑って終わらせるにはあまりにも惜しい、クオリティの高いフリープラグインです。「音楽制作はもっと楽しく、自由であるべきだ」というUJAMの哲学が、このリコーダーの素朴な音色を通して伝わってきます。
導入方法は簡単で、UJAM公式ページからUJAM Appをダウンロードし、アカウントを作成するだけで、全自動でインストールと認証が完了します。WindowsとMacの両方に対応し、主要なプラグインフォーマット(VST2、VST3、AU、AAX)を網羅しているため、お使いの環境ですぐに試すことができます。
普段はシリアスなEDMや壮大なオーケストラを作っている方も、精密なミックスダウンの息抜きに、このBeautyflute Proで「エモい」リコーダーソロを打ち込んでみてはいかがでしょうか。あなたのトラックを、全く新しい次元へと導いてくれるはずです。いつ配布終了になるか分からない(あるいは一生無料の歴史的遺物になるかもしれない)ため、気になる方はぜひ早めにゲットして、この壮大なエイプリルフール・ジョークに参加してみてください。







