【コーヒーとシロップ/Official髭男dism】コード分析と解釈

Official髭男dismの2枚目のミニアルバム「MAN IN THE MIRROR」の2曲目に収録されている楽曲。

メジャーデビュー前の初期の楽曲とは思えない、ハイセンスなコードワークについて紐解いていきます!

ここからの内容は、er-music編集部の独自の見解になります。 読者様との解釈に相違がある場合も、考え方の一例、娯楽の一環としてご覧ください。 また、ダイアトニックコードの理解があるとより楽しめるかと思います。 ダイアトニックコードとは?

全体を通して

構成

A→B→サビ→A→B→サビ→C→ラスサビ(転調)

イントロはなく、Aメロから始まります。

間奏がないことや、繰り返し多いのメロディーからも、ポップさやキャッチーさに重点をおいて作られていると感じます。

Aメロ

楽譜Aメロ

1~4小節目

コードE→Bm7/E→A/E→Am7
ディグリ ー表記Ⅰ→Ⅴm7/Ⅰ→Ⅳ/Ⅰ→Ⅳm7

E→Bm7/E→A/Eはルートをキープしたまま進むコード進行。

Bm7/EのBm7はドミナントマイナーというコード。がマイナーになった形です。

A/E→Am7』の流れはⅣ→Ⅳm7の形。Ⅳm7サブドミナントマイナーといい、と比べて切ない響きを持っています。

えるるん
Ⅰの音がキープされていることで展開がよくて、そこから何かが始まりそうな雰囲気を感じる!

5~8小節目

コードG♯m7→C♯→F♯m→F♯m7/B
ディグリ ー表記Ⅲm7→Ⅵ→Ⅱm→Ⅱm7/Ⅴ

『G♯m7→C♯→F♯m→F♯m7/B』は3-6-2-5進行の形になっています。

『F♯m7/B(Ⅱm7/Ⅴ)』はドミナントの代理としてよくつかわれるコードで、
通常のⅤ7よりも柔らかく浮遊感のあるコードになっています。

9~16小節目

コードE→Bm7/E→Amaj7/E→Am7→G♯m7→C♯m→F♯m7→G♯7
ディグリ ー表記Ⅰ→Ⅴm7/Ⅰ→Ⅳmaj7/Ⅰ→Ⅳm7→Ⅲm7→Ⅵ→Ⅱm7→Ⅲ7

G♯7セカンダリードミナントです。
C#m7を一時的なトニックと捉えて、ドミナントコードに変えたものです。

Ⅵmへのドミナントモーションを予感させるコードなので暗い様子を感じさせます。

Bメロ

楽譜Bメロ

1~8小節目

コードAmaj7→G♯m7→F♯m7→B7→E→Amaj7→G♯m7→F♯m7→Fmaj7→E
ディグリ ー表記Ⅳmaj7→Ⅲm7→Ⅱm7→Ⅴ7→Ⅰ→Ⅳmaj7→Ⅲm7→Ⅱm7→♭Ⅱmaj7→Ⅰ

1~4小節目はⅣ→Ⅲ→Ⅱ→Ⅴ→Ⅰという、非常によく見られるコード進行です。

5~8小節目も同じことを繰り返していると思いきや、7小節目でノンダイアトニックコードが出てきていますね。

この『Fmaj7(♭Ⅱmaj7)』Ⅱm7からを半音で繋ぐ経過音的な役割として使われていますが、これはサブドミナントマイナー代理コードと解釈することができます。

Aメロの1~4小節目で登場したサブドミナントマイナーコード、Am7の構成音は(ラ、ド、ミ、ソ)。

対してFmaj7の構成音は(ファ、ラ、ド、ミ)と、ほぼ同じ属性を持ったコードであることがわかります。

9~16小節目

コードAmaj7→G♯m7→F♯m7→G♯7→C♯m7→Amaj7→G♯m7→F♯m7→G♯7→C♯m→Cm→Bm
ディグリ ー表記Ⅳmaj7→Ⅲm7→Ⅱm7→Ⅲ7→Ⅵm7→Ⅳmaj7→Ⅲm7→Ⅱm7→Ⅲ7→Ⅵ→♭Ⅵm→Ⅴm

9~12小節目では1~8小節目と異なり、『G♯7→C♯m7(Ⅲ7→Ⅵm7)Ⅲ7を通してマイナーコードに解決しています。

13~16小節目では、『G♯7→C♯mまで同様ですが、キメと同時にC♯m→Cm→Bm(Ⅵ→♭Ⅵm→Ⅴm)と、半音ずつ平行移動で下降しています。

サビ

楽譜サビ

1~8小節目

コードA→B7→F♯m7 →G♯7→C♯m→F♯m7 →B7→G♯7→C♯m
ディグリ ー表記Ⅳ→Ⅴ7→Ⅱm7→Ⅲ7→Ⅵ→Ⅱm7→Ⅴ7→Ⅲ7→Ⅵ

G♯7→C♯mという流れでマイナーに解決する動きが繰り返されています。

えるるん
主人公の苦悩を思わせるような進行になっている様にも感じる…

9~16小節目

コードAmaj7→B→G♯m7→C♯m→F♯m7 →B7→E
ディグリ ー表記Ⅳmaj7→Ⅴ→Ⅲm7→Ⅵ→Ⅱm7→Ⅴ7→Ⅰ

ここで出てくる『Amaj7→B→G♯m7→C♯m』4-5-3-6進行です。
王道進行ともよばれ、J-POPのヒットソングにおいて非常によく使われます。

Amaj7→B(Ⅳmaj7→Ⅴ)の流れでトニックにいくと思わせて、暗い響きのG♯m7→C♯m(Ⅲm7→Ⅵ)に着地するという、ドラマチックなコード進行です。

最後はF♯m7 →B7E(ツーファイブワン)で解決し、繰り返されていた短調の暗い雰囲気から開放されます。

Cメロ

楽譜Cメロ

1~8小節目

コードA→B→G♯m7→C♯m→F♯m7→B7→E→E7
ディグリ ー表記Ⅳ→Ⅴ→Ⅲ→Ⅵ→Ⅱm7→Ⅴ7→Ⅰ→Ⅰ7

4-5-3-6進行からのツーファイブワンでEにいきますが、最後にE7に行っていますね。

このE7(Ⅰ7)セカンダリードミナントであり、に向かうドミナントコードです。

このⅠ→Ⅰ7→Ⅳという進行はOfficial髭男dismのほかの楽曲でもよく使われており、
「115万キロのフィルム」のCメロ前の2小節で、E♭→E♭7という進行を聴くことができます。

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9~16小節目

コードA→B→B♯dim→C♯m→F♯m7→G♯m7→Amaj7→G♯m7
ディグリ ー表記Ⅳ→Ⅴ→♯Ⅴdim→Ⅵ→Ⅱm7→Ⅲm7→Ⅳmaj→Ⅲm7

4-5-3-6進行から変化しBC♯mの間にB♯dimが入ってきています。

このB♯dimパッシングディミニッシュといい、を繋ぐ経過音的なコードとして使われています。

17~22小節目

コードF♯m7→G♯m7→Am7→B→C
ディグリ ー表記Ⅱm7→Ⅲm7→Ⅳm7→Ⅴ→♯Ⅴ

『F♯m7→G♯m7(Ⅱm7→Ⅲm7)』ときてサブドミナントマイナーを経て

B→Cの部分で半音上のFメジャーキーに転調しています。

ラスサビ前で半音上に転調するという手法は、J-POPでもっともよく聴くことができる転調のひとつですね。

ラスサビ

楽譜ラスサビ

1~8小節目

コードB♭→Gm7→A7→Dm7→Gm7→C7→A7→Dm7
ディグリ ー表記Ⅳ→Ⅱm7→Ⅲ7→Ⅵm7→Ⅱm7→Ⅴ7→Ⅲ7→Ⅵm7

Fメジャーキーに転調後、エネルギーをためるようにB♭(Ⅳ)を2小節鳴らしています。

ドラムのフィルと同時にGm7→A7→Dm7と最後に向けて盛り上がっていきます。

9~20小節目

コードBm7(♭5)→B♭m7→Am7(♭13)→A♭7(13)→Gm→C→F
ディグリ ー表記♯Ⅳm7(♭5)→Ⅳm7→Ⅲm7(♭13)→♯Ⅱ7(13)→Ⅱ→Ⅴ→Ⅰ

最後の最後でBm7(♭5)→B♭m7→Am7(♭13)→A♭7(13)という、半音ずつ下降していく「おいしい」コード進行をもってきています。

♯Ⅳm7(♭5)は構成音的に考えるとⅣmaj7のルートを半音上げただけのコードである為、ベースが半音ずつ下降していくパターンとしてよく使われます。

Ⅳm7サブドミナントマイナー

そこからルートが更に半音下がりAm7(♭13)へ。
Am7♭13(ファ)というテンションが付くことでFadd9/Aとも取れるような清涼感のある響きになっており、これをラストの進行に組み込むことによってクライマックスへの開放感、カタルシスを感じさせています。

次のA♭7でもファ(A♭からみた13th)の音がキープされ、結果的にA♭7(13)というコードになっています。

そして、最後はシンプルなツーファイブワンで綺麗に幕を閉じます。

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