【Love Song/Da-iCE 】コード進行と分析

この記事では、Da-iCEの『Love Song』を分析していきます。
冬の雰囲気や、煌びやかな美しさを感じる一曲でした。
近くで喋りかけているような歌い方で、ヒロインの立場で聴き入ってしまいますね。
ここからの内容は、er-music編集部の独自の見解になります。 読者様との解釈に相違がある場合も、考え方の一例、また娯楽の一環としてご覧ください。 また、ダイアトニックコードの理解があるとより楽しめるかと思います。 >>ダイアトニックコードについて

全体を通して

演奏の特徴

ギターバッキングとボーカルのみで楽曲が始まります。

音圧の少なさ、指引きのサウンドから静けさを感じますが、意外にもクランチ気味のギターではっきりとリズムを刻んでいます。
ここに、冬の重たさ(雪がしとしと降り積っていく様子や、何か少し体が重たい感じ、夏のように爽快でない様子)を感じました。

全体的に見ればAメジャーキーの明るさがありますが、ところどころ切なさや哀愁を感じるコード進行も見られました。

えるるん
冬の独特な寂しい雰囲気や、心が温まる様子が伝わってくるなあ。

イントロのない構成

また、イントロがない構成も特徴的です。
同じ内澤崇仁が作曲した、Aimerの『カタオモイ』もイントロのない構成となっていました。

個人的に、Aメロから始まる楽曲が、登場人物への感情移入がしやすいように感じています。
反対に、イントロがある楽曲は、その楽曲が織りなす世界観に没入しやすい。

まず耳に入るのが歌メロになるので、歌詞やメロディーに意識がいきやすくなります。
そして聴者が各々、その歌詞の主人公をイメージしだします。
今回で言えば、歌いだしが「そっと降る雪が 君に似てるな」なので、『男性』『恋している』『ロマンチスト』みたいなイメージを一瞬でつかむことができます。

Aメロ

ラブソングAメロ楽譜

3~4小節目【F#aug7 | F#7】

先に4小節目のコードから見ていきましょう。

『F#7』は、次のBm7を一時的なトニックと見立ててドミナントコードに変えたものです。セカンダリードミナントと言います。

『F#aug7』は、よくドミナントコードの仲間として扱われます。そのため、F#7同様にセカンダリードミナントです。

7小節目【A/E】

Aコードの第二転回系が『A/E』です。

前のBm7がサブドミナントという機能を持ったコードのため、このコードはドミナントの代わりと考えると自然です。

ドミナントは非常に不安定な響きで、サブドミナントは若干不安定な響きがします。不安定なコードほど、トニック(ここでいうA)へ戻りたい力が強まります。

8小節目【DM7 – Dm6】

『Dm6』は、サブドミナントマイナーと呼ばれるコードです。

サブドミナントであるDM7が、マイナーコードになったもので、切なさや哀愁などが感じられます。

Bメロ

Love Song Bメロ楽譜

1~4小節目【DM7 ~F#7】

この4小節だけ切り取ると、王道進行と呼ばれるコード進行をとっています。

ただ、最後の『F#aug7→F#7』だけは例外で、セカンダリードミナントに変えた進行になっています。

この部分の解釈

王道進行は、明るくも暗くも感じるようなどっちつかずな進行です。

明確な明るさや暗さがないからこそ、少し切ない雰囲気を感じます。

加えて、最後のコードはセカンダリードミナントですがメジャー系のコードです。

切なさの中に光が差し込むような、希望感が感じられます。

6小節目【D/E】

『D/E』は、ここではドミナントの代わりとして使われています。

D/Eは、E7sus4(9)とも言えるためです。

7~8小節目【Asus4 | A】

sus4を入れることで、トニックAに着地する前に若干の緊張感と、解決の遅れが生まれ、Aの安定感が際立ちます。

サビ

ラブソング サビ楽譜

ここでも王道進行を意識されていますが、また4小節目のコードがメジャー系のコードとなっています。

4小節目【F#】

『F#』は、Aメジャーの平行短調であるF#mの短3度の音が半音上がり、メジャーとなったコードです。

このようにマイナートニックをメジャーコードへと変えた終止の進行を、ピカルディ終止といいます。

Cメロ前半

Dメロ楽譜

曲全体を起承転結でわかるなら、『転』となるセクション。どっしりとしたバッキングに重みを感じます。

加えて、このセクションだけ、暗い雰囲気が強まっています。

『C#』はセカンダリードミナントですが、F#mをトニックと見立てるために、平行短調であるF#mキーの雰囲気を強めているのです。

Cメロ後半

Cメロ後半の楽譜

Cメロ後半の楽譜2

1~4小節目【Bm7~F#m】

ここもBメロやサビで出てきた王道進行が軸にありますが、若干違いがあります。

『Bm7』は、DM7の代理となるコードで同じサブドミナントの機能があります。D→Eの動きよりもベースの跳躍があるため、広がりがあり気持ちの上がるような雰囲気になります。

『C#7』と、その展開系『C#7/E#』は、F#mを一時的なトニックと見立てたセカンダリードミナントです。

6小節目【B7】

『B7』は、Eを一時的なトニックと見立てたセカンダリードミナントです。

Eは、Aメジャーキー本来のドミナントですので、「ドミナントに対するセカンダリードミナント」と表現することができ、ダブルドミナントと言われたりします。

9~10 小節目【Fsus4 | F】

このコードがラスサビのキー(D♭)へ転調するきっかけとなる進行です。
強引に、ドミナントEを半音持ち上げ、D♭キーのドミナントとしています。

ドミナントのsus4コードは、サブドミナントの役割を果たします。
そのため『Fsus4 →F』の動きは、『サブドミナント→ドミナント』の動きを作り、転調の違和感を緩和しています。

まとめ

音数の少なさから単純な楽曲かと思いきや、冬の雰囲気や煌びやかさ、そして起承転結を意識し考えられたコード進行となっていました。

冬を彩る、キラキラと美しいラブソングでした。
なんといっても、Da-iCEの甘くハイトーンな歌声に、二枚目な主人公像をイメージせずにはいられません。

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