あいみょんの「マリーゴールド」は、2020年10月では、ストリーミング再生回数10億回を超え、超ヒットソングとなりました。
単純に、さわやかできらびやかなラブソングにも感じますが、一体どんな楽曲なのでしょうか。
今回は、この楽曲のコード進行や歌詞を分析していきます。
全体を通して
シンプルなコード進行の多いバラードソングで、音数も多くなく、弾き語りでも映える楽曲ですね。
全体的にさわやかな雰囲気があり、BPM(106)から、ゆるく歩いているような速度感も感じられます。
オンコードが多用されていて、ベース音が跳躍せずに緩やかに動くように工夫されています。
なんだか青空やそよ風が吹いているようで、心休まるよねー。
タイトルにもなり、歌詞にもある『マリーゴールド』ですが、いくつかの花言葉があるようです。
曲を理解するうえで重要そうなので、確認しておきましょう。
マリーゴールドの花言葉
黄色いマリーゴールド:健康
オレンジのマリーゴールド:予言
マリーゴールド全般:嫉妬、絶望、悲しみ
曲の雰囲気からは想像つきにくい意味合いが多く出てきました。
何か単純でない印象があります。
イントロのコード進行
おおまかなコード進行としては、カノンコードに似た形をとっています。
キーDの場合のカノン進行
D→A→Bm→A→G→D→G→A
曲を全体的に見ても、この進行が土台となっています。
若干異なる部分があるので、その部分もよく見ていきましょう。
2小節目(A/C#)
先ほどのカノン進行を例に見てみますと、この部分はコードがAにあたるはずですが、『A/C#』とオンコードの形をとっています。
このコードは、Aコードの『構成音C#』をベースに持ってきた形で、第2転回系と呼ばれるものです。
これにより、ベースが『D→C#→B』と緩やかに下降するようになっています。
4小節目(F#m)
オンコードを使ってわざわざ緩やかなコード進行を作っているのだから、ここはカノン進行の通り『A』を使ってもいいでしょう。
実際にAメロ、サビではそうなっています。
ですが、この部分はF#mです。
ここは演奏と照らし合わせてみると明白ですが、ドラムのクラッシュが入る”キメ”のようなセクションになります。
コードも進行もそれに合わせ、音の跳躍があり変化の強いものをチョイスしているのでしょう。
6小節目(D/F#)
ここも、カノン進行を例に見てみるとDのはずですが、『D/F#』となっています。
これも同様に、Dコードの第2転回系です。
ベース音は『G→F#→G→A』と跳躍なく緩やかに動いています。
Aメロのコード進行
コード進行は、イントロの土台変わらず、カノン進行をオンコード化したものが使われています。
ベース音が下降し続けることで、落ち着いた感じがしますね。
1~4小節目(「風の強さがちょっと…」)
『風の強さがちょっと 心を揺さぶりすぎて』と歌詞から見てももの悲しげな印象が感じ取れます。
1小節目、Dコードの部分のメロディーを見てみると、『明るさや安定さ』を決定づける音が使われていません。
Dのようなメジャーコードは、主音(D、つまりレの音)から見て3度の関係にある音(ここでいうF#、つまりファ#の音)がその明るさや安定さを決定づける重要な音になります。
あえてここでは、その音を回避したメロディーになっています。
一方で3小節目、Bmコードの部分では、マイナーコードの『暗さや安定感』に重要な音が使われています。
だから爽やかだけど悲しげな感じにきこえるのかなー!
Bメロのコード進行
Bメロはたった4小節です。
1小節目
Bメロの開始がマイナーコードともあり、暗い雰囲気のあるセクションです。
この曲のキーはDですが、DとBmは並行調という関係にあるため、キーDとキーBmは全く同じ音で構成されています。
ですが、DとBm。どちらもメインでコード進行を展開するかで曲の明るさ、暗さが変わります。
そのため、ここではキーBmに一時的に転調したと考えることができます。
4小節目
4小節目は『A』で終わり、次のサビのコード『D』へとつながります。
Aはドミナントと言われるコードで、4度上のコードであるDに行きたい力が働きます。
そのままサビに移るので、ここでキーDに戻ります。
サビのコード進行
サビのコード進行は、ほとんどAメロと同じなので、特別語ることはないでしょう。
しいて言えば、6小節目の進行が若干異なっていますね。
6小節目(D/F#→Bm)
Aメロでは『D/F#』単体でしたが、ここではBmが追加されています。
ほかのヒットソングでも、こうした微妙な違いをつけることがよくありますが、どういった意図で行っているのかを知っておくと自身の作曲にも有効に使えそうですね。
個人的な解釈にはなりますが、この部分は『サビらしい勢い』を作るためにコードを追加しているように感じます。
『F#→Bm』は、4度上に進行しているので、自然かつ推進力のある動きを作り出すことができます。
これを強進行と言います。
サビでも、同じコード進行が使われているときは、追加されているコードやベースの動きを注視してみましょう!
歌詞の考察
ここまでのAメロの悲しさげな雰囲気、Bメロの希望感。
それらを踏まえたうえでサビの歌詞を見てみると、
「悲しみを乗り越えて、過去の思い出も愛し、前へ進んでいく」
ようなストーリ性があるのではないかと思いました。
まとめ
マリーゴールドは、単なるラブソングではなく「悲しみや」「愛しさ」の入り混じり、主人公の変化も感じられる物語としても充実している楽曲だと感じました。
これはあくまでも、個人的な解釈になります。
歌詞を純粋にひも解いていくのもいいですが、コード進行などの演奏も作者の真意を探るヒントになりえます。
参考程度にしたうえで、ぜひもう一度マリーゴールドを聴いてみてください。