弾いてみたコード進行が不自然、何だかぎこちない。そう感じる時は、強進行を取り入れてみるといいかもしれません。
強進行を意識すれば、自然でスムーズなコード進行を作ることができます。
楽曲のコード進行を理解する上でも、また作曲の上でも重要な知識ですので、順を追って理解していきましょう。
強進行とは?
強進行とは、完全4度上(完全5度下)へ進むコード進行のことです。
ダイアトニックコード上の強進行は、調性感を強く感じさせ、聞き心地がよく自然なコード進行となります。
一般的には、コード進行におけるルート音の動きが完全4度上(完全5度下)へ進む場合に、強進行と表現します。
よく使われるコード進行の中でも強進行は重要な働きをしています。
以下でその例をみていきましょう。
強進行の例1:ツーファイブ
ダイアトニックコードのIIm→Vで進むコード進行をツーファイブと言います。
Cメジャーキーの場合は、『Dm7→G7』の進行がツーファイブです。
自然とCへ進みたくなるコード進行ですね。I(トニック)まで含めた進行は、ツーファイブワンとも呼ばれたりします。
『G7→CM7』も強進行になっています。
強進行の例2:ドミナントモーション
ドミナントモーションは、ドミナントセブンス(V7)からトニック(I)へ解決し、強い解決感を生む進行です。
ドミナントセブンスから見て完全4度上のトニックへ進むので、こちらも強進行です。
前項では、Cメジャーキーのツーファイブを確認しましたが、後半『G7→CM7』の動きがまさにドミナントモーションです。
ドミナントモーションは、強進行の力も相まって強い調性感を生み出します。
トニックへ達した時に、落ち着きを感じ、ひと段落した様な雰囲気に包まれます。
フレーズの終わりで使われるドミナントモーション(V7→I)をドミナント終止と言います。
強進行とドミナントモーションの違い
ドミナントモーションも完全4度上(完全5度下)へ進行しますので、しばしば強進行と同じものだと誤認識してしまう方がいらっしゃいます。
ここで、強進行とドミナントモーションの違いをしっかり理解しておきましょう。
強進行は単純に、完全4度上(完全5度下)へのコード進行を指します。
そのため、ドミナントモーションというコード進行も、強進行といって間違いありません。
一方、ドミナントモーションと言うには、強進行であることに加えて、ドミナントセブンスからトニックへ解決する進行に限ります。
もう少し掘り下げると、ドミナントセブンスに含まれるトライトーン(非常に不快とされる音程)がトニックの構成音へ半音で解決することでドミナントモーションとなります。
強進行しているコード進行の中でも、ドミナントモーションは特別なものだと認識していただければ混同することはないかと思います。
強進行と弱進行
せっかく強進行を理解したのですから、弱進行も簡単に覚えていきましょう。
まず強進行や弱進行など、ルート音の進行に着目したものを、根音進行(ルート)進行と言います。
根音進行は以下の4通りあります。
- 強進行
- 準強進行
- 変進行
- 弱進行
準強進行
2度上行(7度下行)あるいは、3度下行(6度上行)する進行を準強進行と言います。
例えば、G7からCに進むドミナントモーションは強進行ですが、G7からトニック代理のAmへ進進行は2度上行の準強進行です。
変進行
強進行のちょうど逆、4度下行(5度上行)する根音進行を変進行と言います。
例えば、G7からCに進むドミナントモーションが強進行でしたので、その逆CからGへ進む進行が逆進行です。
また、FからCへ進行する終止系を変終止(アーメン終止)と言いますが、こちらも変進行にあたります。
弱進行
前述した準強進行のちょうど逆、2度下行(7度上行)、3度上行(6度下行)する根音進行を、弱進行と言います。
例えば、先ほどG7からAmへの進行を準強進行と言いましたが、G7からFの進行が弱進行です。
全ての根音進行をまとめて聴く
根音進行のパターンは強進行を合わせた上記の4つです。
特に有名なコード進行であるカノン進行を題材に、どの部分が、どの根音進行となっているかみてみましょう。
前半は、変進行と準強進行が交互に現れ、流れができています。
後半には、強進行が出てきます。最後のG(V)は、次の繰り返し頭であるCへと強進行していきます。
上記の進行では、弱進行が一つも出てきませんでした。
他にも、王道進行や小室進行など、定番と言われる進行にはあまり弱進行が登場しません。
強進行や準強進行に比べると、弱進行はスムーズさに欠けるため、好んで使われにくいのかもしれません。
反対に、弱進行を使わない進行は、よくも悪くも定番になりやすい様にも感じます。