メジャーセブンスやマイナーセブンス。これらのセブンスコード(4和音)のほかに『ドミナントセブンス』と呼ばれるコードがあります。
ドミナントセブンスは、コード進行に緊張感、そして弛緩をもたらす重要なコードです。
この記事では、ドミナントセブンスについて解説していきます。
- ドミナントセブンスは緊張感があるコード
- ドミナントセブンスと呼ばれるコードは『○7』全般
- ドミナントモーションで落ち着きが生まれる
- ドミナントセブンスを使ったコード進行の例
ダイアトニックコードを使えば、キーに対して違和感のないコード進行を簡単に作ることができます。 ただ、ランダムに並べたコード進行には、コードそれぞれが持つ役割を活かせません。 コードにはそれぞれ、トニック、サブドミナント、ドミナントと[…]
ドミナントセブンスとは
ドミナントセブンスとは、三和音のメジャーコードに短7度(m7)の音が重なった四和音のコードです。
ダイアトニックコードの五番目のコードがこれに該当します。
メジャーセブンスもマイナーセブンスも、セブンスコードと言う括りでは同じですが、ドミナントのセブンスコードなので「ドミナントセブンス」と呼ばれます。
ドミナントセブンスの特徴
ドミナントセブンスは、メジャートライアドの持つ明るさと、長3度と短7度の音程関係がうむ不安定さを兼ね備えていて、単体で聞くと陽気な響きをします。
長3度と短7度は、全音三つ分の音程であることからトライトーンと呼ばれています。
トライトーンは、非常に不協和な音程とされています。
そのため、ドミナントセブンスは非常に不安定で緊張感のある響きをしています。
強い解決感が欲しい時に良く使われる
ドミナントセブンスは、通常のトライアドのドミナントよりも不安定なため、トニックへ進んだ時の解決感が強く感じられます。
曲をひと段落させたい時、終わらせたい時に使いやすいコードです。ジャズでは、基本的にセブンスコードが使われるので、ドミナントセブンスも頻出します。
ドミナントセブンスがトニックへ進む動きをドミナントモーションといいます。
ドミナントモーションについては3章で解説いたします。
ドミナントモーション(V7→I)について
ドミナントセブンスから4度上のトニックへと向かう進行をドミナントモーションといい、強い解決感、落ち着きが生まれます。
ドミナントモーションが解決感を生み出すのは、ドミナントセブンスのトライトーンが、トニックの構成音へ半音で進み協和した音程に落ち着くためです。
例えば、以下のように『G7』➾『C』の進行がドミナントモーションとなっています。
V7以外もドミナントセブンスという
メジャートライアドに短7度が重なったコードは、基本的にドミナントセブンスと呼ばれます。
1章では、五番目のダイアトニックコード(V7)をドミナントセブンスと言うと表現しましたが、V7以外の「II7」や「III7」となどもドミナントセブンスと呼ばれるのです。
それらのコードは多くの場合で、実際にドミナントとしての機能を持っているためです。
例えば、セカンダリードミナントや裏コードがそれに当たります。
やっかいなのは、ドミナント機能を持たないコードをもひっくるめてドミナントセブンスと呼んでしまうことがある点です。
代表的なブルース進行を例に挙げると、I7はトニック、IVはサブドミナントに該当しますが、ドミナントセブンスと一括りに呼ばれる方も少なくありません。
ドミナントセブンスを用いたコード進行
実際にドミナントセブンスがどのように活用されてコード進行を作り出すのか見ていきましょう。
以下ではドミナントセブンスを利用した3つのコード進行を紹介します。
曲の終わり・一区切りするタイミングで使った例
最も定番の使い方で、ほとんどの楽曲で出現するコード進行のパターンです。
このまま次のセクションへ移らせたり、曲が終えたりしやすくなります。
セカンダリードミナントを用い力強い進行にした例
セカンダリードミナントは、キー本来のトニック(譜例の場合C)以外のコードを一時的なトニックとみたてて、ドミナントセブンスを作り出す手法です。
Amを想定し、E7をドミナントセブンスに変えられています。
Amキーの暗い雰囲気が現れる上に、ドミナントモーションの力強い動きが感じられます。
ドミナントセブンスをあえて解決させない例
ドミナントセブンスからトニックへ解決しない場合もあり、これを偽終止と呼びます。
ドミナントセブンスがなっていると、聴者は自然にトニックへのドミナントモーションを想定します。
偽終止は、いい意味で聴者の期待を裏切るため、効果的に使えば印象に大きく残る進行となります。
まとめ
長3度のメジャートライアドに、短7度の音が重なったコードがドミナントセブンスです。
ドミナントセブンスは、多くの場面でドミナントモーションを起こします。
ドミナントモーションが起こらない場面でも、聴者が自然に次の進行を予感できるため、聴者の予想を欺いた面白みのあるコード進行を作れます。
ドミナントセブンスの持つ緊張感を上手く使いこなして、楽曲に深みを生み出すコード進行を作っていきましょう。
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