若い世代から大人気の5人組バンド wacciのヒット曲【別の人の彼女になったよ】について分析してみました。
共感できる、できない。と賛否両論があったものの、瞬く間に拡散されヒットソングとなりましたね。
全体を通して
元彼への未練、現在の恋人と比較しているような内容の歌詞。主人公が過去を懐かしんでいる様子が思い浮かびます。
個人的にすこし悲しげな夕暮れのようなイメージを感じます。
演奏も歌詞も、サビに最高潮の盛り上が上がりを見せ、恋愛ソングにしては充実感のある音の厚みを感じることができます。
とはいえこの曲のヒットの一番の要因は、歌詞の内容に共感できる若い方が多かったからではないでしょうか?
【別の人の彼女になったよ】こんな強烈なタイトルと歌詞。これを作品として完成させる橋口さん。やはり素晴らしいですね。
ゆったりとしたテンポで16分音符のハネているリズムを表現するのは、少し難しいかもしれません。
初めて曲名を見たときは、ゆったりとした曲で主に弱音を使ったアプローチなのかな??と思っていましたが、全然違い、Aメロ、Bメロともに割とパワフルなサウンドで、今まで通りのwacciらしい音色でした。
サビは特に盛り上がり、歌詞の伝えたい内容と演奏の盛り上がり方がとてもマッチしていますよね。個人的にもwacciは好きなバンドなので、ぜひ他の曲も聞いてみてほしいです!
ギタリストからのコメント
特にテクニカルな要素はでてきませんが、一曲を通して綺麗に弾き切るのはとても難しいでしょう。というのもこのテンポで5分間ぶれないバッキングをしなければいけません。
ドラムやベースでなく、バッキングギターがグルーヴを生み出すつもりで演奏するといいかもしれませんね。この時、弦の振り抜きが甘いとコードの音像がはっきりせずグルーヴ感のある演奏になりにくいので意識が必要です。
Bメロ:ノンダイアトニックコードの使いわけ
一周目E7だったところがG#m7b5になる点に注意が必要です。
E7はAに続くセカンダリードミナントというもので、Bmからトゥーファイブの動きを作り出します。G#m7b5はE7(9)ににた構成音なので役割は近いですが、GM7のベースだけが一つ上がった音なので、Gにつづく半音上の経過音的なアプローチと言えます。
【関連記事】セカンダリードミナントとは?使い方や利用できない場面も解説
サビ
特に変わった進行は現れず、ダイアトニックコードに沿った『Ⅳ→Ⅴ→Ⅵ→Ⅰ』の進行を続けます。
シンプルなコード進行であるため歌詞が直に耳に入ってきます。
歌詞に重点を置いている曲に感じるのは、歌詞を作りこんでいるということ以外にも、演奏をあえてシンプルにしているからなのかもしれません。
このように、何かをあえて差し引くことで、もう片方のウェイトが重くなり強調して聞こえることもあります。
実際に本人がそう意図しているのかはわかりませんが、この曲の歌詞が流行りに流行っている理由はそこにあるのかもしれません。
歌詞:現代の恋愛事情・最後の1フレーズの超強調
現代の恋愛事情
恋人と別れた彼女視点に描かれた曲。
別れて時間がたち別の人と付き合っているが、当時感じれたものが今ないことに虚しさを感じているようです。
「未練を残した恋愛」的な曲で、それこそ『香水』や『タバコ』のようなヒットソングと同じ傾向です。
こういった歌詞は賛否こそ分かれますが、共感されることも多いのではないでしょうか。
恥ずかしかったり、みじめでなかなか声に出せないことを代弁してくれる…みたいな。
「大切なものは失ってからきずく」みたいなメッセージ性も感じることができますね。
最後のフレーズ
ラストサビの最後のフレーズ、「私が電話をしちゃう前に」では、ここまで濁してきた主人公の感情が溢れ出しています。
この曲のミソはここではないでしょうか。
曲中ずっと強がっているような表現をしているが、とうとう終わりには限界がきてしまい感情を吐露してしまいます。
今までの歌詞や演奏は最後の「この一言」にたどり着くために合ったのではないでしょうか。
この部分では、演奏も1小節のブレイクが入りボーカルオンリーになります。
際立たせたいセリフが見事に協調されています。