【カメレオン/king gnu】コード進行と分析

ドラマ『ミステリと言う勿れ』主題歌、king gnuのカメレオン。
原作を知らない身ではありますが、ドラマの演出が作り出す雰囲気にマッチした楽曲でした。

今回も、コード進行を中心に分析していきましょう。

ここからの内容は、er-music編集部の独自の見解になります。 読者様との解釈に相違がある場合も、考え方の一例、娯楽の一環としてご覧ください。 また、ダイアトニックコードの理解があるとより楽しめるかと思います。 >>ダイアトニックコードについて

全体を通して

透き通る優しい歌声から始まり(頭サビ)、それを打ち消すように暗い調に転調しています。
それもあってか、早い段階で優しさ切なさが入り混じった楽曲と感じました。

その点で言うと白日と近しいものがありますが、カメレオンは全体的に楽器にかけているモジュレーションが強く、幻想的で夢の中ような心地よさを感じます。

エレクトロな要素も強く、重厚感のあるシンセベースや、主のメロディー背後に聴こえるボコーダーを通したようかコーラスが特徴的です。
ラスサビでは、コーラスが前面に出くる壮大なサウンドで、ゴスペルのように力強く感動的な演出となっています。

頭サビ

カメレオンの冒頭サビ楽譜

1~2小節目【CM7 – FM7 | F/G – E7/G#】

『CM7 – FM7 | F/G』の動きを見てみると、意図的にGコードを使わっていません。
『F/G』として、ドミナント感を弱めて、落ち着いた進行にしています。

『E7/G#』はセカンダリードミナントで、次小節のAmを一時的なトニックと見立てドミナントコード化しています。

この部分の解釈
メロディーこそ、オクターブの跳躍で最高音Cをついていますが、その部分は落ち着いたコード進行になっています。
大きな跳躍は激しさも感じますが、主人公が興奮しきっている様子はなく、落ち着いているようにも感じます。
ここに悲しさを押し殺しているような、切なさを感じました。
この部分の歌詞を見てみると、歯がゆい様子が浮かびます。
『❝つきとめたい かなわない 君の正体は❞』
メロディーは、C音から一気にオクターブ上がらず、半音下のBを経由して最高音Cに到達します。
跳躍の勢いが抑えられ、激しく体が動いているというよりは、手を伸ばしているようにも感じます。
なんとも歯がゆく、切ないです。
えるるん
Adoの『うっせぇわ』サビでは、経由なしの1オクターブ跳躍がある。
そっちでは、体が動いてしまうほどの激しい感情が読み取れたよ!

3小節目【Am – G – D/F#】

先ほどのセカンダリードミナント(E7/G#)によって暗さが際立っていますが、『Am』から下っていく進行で、落ち着きを感じます。
冒頭のメロディーのインパクトが強かったために、この下行する進行が「落ち着かせる」「熱を冷ます」ような役割として機能しているようです。

『D/F#』はGに対するセカンダリードミナントです。
キーCのドミナントであるGに対するセカンダリードミナントなので、ダブルドミナントと言われることもあります。

えるるん
メジャーキーのダブルドミナントは明るい響き!

4小節目【Gsus4 – G】

ここでは、『Gsus4 – G』としましたが、 以降のCへと解決する同じような小節では、Gsus4一発としています。
(ここも本来Gsus4だけで表記するべきだったかもしれません…)

要は、この楽曲では解決力の弱いsus4コードでCに進む動きを頻繁に使っています。

GやG7を使う場合よりも、解決力はありませんが緊張感も薄まり、落ち着いた進行になります。
最初1~2小節でもそうでしたが、動きの強い進行を極力使わないようにしているようです。

 

間奏

カメレオンの間奏楽譜

このセクションは、キーがDm(F)へと転調しています。(分析記号はFをⅠとしています。)

Dmから下っていく暗い進行で、4小節目の『A7』はDmに対するセカンダリードミナントです。
『A7 – G/B – A7/C#』としていますが、フレーズ的に音が変化しているだけで、いずれも表現しているのはA7です。

Aメロ

カメレオンAメロ楽譜

1~2小節目【Dm – C – G/B】

『Dm – C – G/B』は、キーDmからキーにCに転調するポイントです。

キーCから見ると、『Dm』はⅡmなので、Dmキーのマイナートニックとも、キーCのⅡmとも考えることができます。
こうした、転調前と転調後のキーで共通するコードをピボットコードと言います。

ピボットコードを利用するとスムーズな転調をすることができますが、ここでは2小節まるまるピボットコードともいえるので、極めてスムーズな転調となっています。

この部分の解釈
間奏部分をDmへの転調としていたので、ここは回帰の部分として解説しました。
しかし、コードだけ見れば1小節目頭からすでにキーCにも見えますし、転調感がありません。
加えて、頭2小節目がメロディーでもD音が意識されているので、Dドリアンモードな雰囲気があります。
Dmキー(Dエオリアン)から、Dドリアンモードをへて、Cキーにたどり着くイメージです。
DエオリアンとDドリアンは近い音階で、DドリアンとCアイオニアンはレラティブな関係なので、非常にスムーズに進行しています。

落ちサビ

カメレオン落ちサビ楽譜

2コーラス目、落ちサビとなるセクションの楽譜です。
ほとんど、冒頭のサビと変わりはありませんが、ラスサビへの転調のきっかけとなるため、最後2小節だけが変化しています。

9~10小節目【Dm – C/E – Fm】

上行の進行で盛り上がっていくのを感じます。

『Fm』はサブドミナントがマイナーコードになったもので、サブドミナントマイナーと言います。

えるるん
Cメジャーキーの中でのサブドミナントマイナー(Fm)には、哀愁をとても感じる!
「寂しさとか」「恋しさとか」…

 

ラスサビ

カメレオンのラスサビ楽譜

ラスサビは、完全4度上のキーへと転調します。
キーCから見た完全4度の調は、下属調といってキーCと非常近しい調です。
楽譜の調合をみても、♭が一つ増えるだけですね。

演奏も激しく躍動感があり、クライマックスにふさわしい盛り上がりを見せています。

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