【天使にふれたよ/放課後ティータイム】コード進行と分析

∑∑アニメ「けいおん!」の卒業回で演奏された「天使にふれたよ」。
まさに、泣けるバラードソングで、何度も見返した、聞き返した方は多いのではないでしょうか。

この曲の『良さ』を、コード進行の観点を中心に分析していきましょう!

全体を通して

優しさや穏やかさを強く感じます。
BPMはタンタンと歩いているくらいですが、メロディーが詰め詰めでなく穏やかなので、テンポ感は穏やかに感じます。

えるるん
Bメロは、Aメロに比べてドラムのリズムがはっきりして、メロディーも8部音符の連続が増えるから、テンポが上がったようにも感じたよ!
まさに、起承転結の『転』の部分で、ストーリーが展開していく様を感じる!
放課後ティータイムの楽曲は、ほとんどがロックなバンドサウンドにマッチするシンプルなコード進行を使っています。
この曲も例外ではありませんが、コードの割り方や、ここぞというタイミングのセカンダリードミナントなど、素晴らしい工夫の数々でした。
イントロから順番に分析していきましょう。

イントロ

イントロ楽譜

1〜2小節で盛り上がり、次の3〜4小節目『Gm7→F→E♭』の降っていく進行で落ち着きを取り戻しAメロへと進んでいきます。

ギターのフレーズもコードに合わせ、2小節でトップノートにつけ、下がっていきます。

4小節の進行ですが、サビのような盛り上がりと落ち着きがあり、イントロだけでストーリーの奥深さを感じます。

Aメロ

Aメロ楽譜

1〜2小節目【B♭】

B♭が2小節続き、メロディーもイントロのリードギターに比べ音価が休符も目立ちます。
リズムが緩く感じ、イントロに比べて落ち着き・穏やかさを感じます。

4小節目【C】

キーB♭のダイアトニックコードでは、Cmが使われますが、ここでは『C』となっています。

このコードは次の『Gm7』を一時的なトニックと捉えて、ドミナント(メジャートライアド)に変えたもので、セカンダリードミナントと言います。

Gm7がトニックとして意識されるため、暗い雰囲気が漂います。

8小節目【B♭】

『B♭』に進行し落ち着きを感じますが、メロディーがコードトーンに乗って上昇していきます、
若干の盛り上がりを感じさせ、セクションが移り代わると分かります。

Bメロ

Bメロ楽譜

1〜4小節目【E♭→F→Dm7→Gm7】

『E♭→F→Dm7→Gm7』の進行をディグリー表記に直すと『IV→V→IIIm7→VIm7』になります。
この進行は、王道進行と呼ばれるもので、ジャンル問わず頻繁に使われます。

サブドミナントが感じさせる叙情的な雰囲気と、トニックへ解決させない進行に、切なさをも感じる進行です。

4〜8小節目【Cm7→Dm7→E♭→F】

Cm7から上行していく進行です。
上行の盛り上がりと、ドミナントであるFへ進行するため、次にトニックであるB♭へ進む期待が生まれます。

この部分の解釈
AメロからBメロへ移り変わる場面でも、メロディーが盛り上がりを演出していました。
Bメロからサビの場面では、コードも上行しさらなる盛り上がりを見せています。
8小節目のメロディーは、4部音符での上行となっています。
7小節目の8部音符の連続よりも、長い音符には重点が置かれやすいので、一音一音が強調され、盛り上げの強さも増します。

サビ

サビ楽譜

サビ楽譜2

サビ楽譜3

Bメロ後半で怒涛の盛り上がりを見せましたが、メロディーは上向の跳躍もなく落ち着いたものとなっています。
しかし、コーラスが加わりメロディーに厚みが増し、サビたる迫力を演出しています。

穏やかで、優しさを感じるサビとなっています。

えるるん
この曲の真髄はここだろうか。
曲を聴き終わると優しい充実感に包まれるのは、サビを絶妙な盛り上がり加減に調整しているからなのかも!

5〜6小節目【E♭→F→Dm7→Gm7】

ここまで1小節1コードで進行していましたが、2拍でコードが進行しています。
少しリズムが前のめりになったように感じ、気持ちの高まりを感じます。

穏やかなサビですが、こうした緩急をつけることでストーリー性と迫力が演出されています。

えるるん
ここも王道進行

10小節目【D】

Aメロでも登場した『D』が出てきました。
役割は同じで、次のGm7を想定したセカンダリードミナントです。

9小節目からはサビ後半となっていますが、前半と比べて微妙に違うポイントとなっています。

この部分の解釈

偶数小節は、コード進行にも明確な区切りを感じやすく、またいずれもトニックコードであるため、B♭とGm7は重点を感じるコードです。
Gm7の前に、セカンダリードミナントを挿入することで、Gm7の重点が増し、緩急が激しくなります。

サビ前半との違いに、クライマックス感を感じます。

13〜14小節目【E♭→F→Dm7→G】

5〜6小節目と同様に王道進行ですが、最後の『G』だけが違うコードになっています。

本来Gmへ進むはずですが、ここではGのメジャートライアドになっています。
次にDmへ進んでいるところをみると、解釈的にはセカンダリードミナントと考えられます。

Dmを一時的なトニックと見立てたドミナントコードがGということです。

この部分の解釈
セカンダリードミナントは、多くの場合でセブンスコードが使われます。
しかしセブンスコードの方が緊張感が強く、今回のようなトライアドは比較的緊張感が弱く感じます。
ここでは王道進行による切ない雰囲気を、Gメジャーに進むことで払拭し、「切なくも優しく温かい」印象を感じさせています。
その後Cm7→F→B♭と、トニックまで解決していくので非常に穏やかに感じます。

まとめ

穏やかで、優しさ溢れる一曲でした。

バラードソングにしては、比較的淡々としたビートをしていますが、メロディーやコードの工夫で穏やかさがうまく表現されていると感じました。

 

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