【私の恋はホッチキス/放課後ティータイム】コード進行と分析

アニメ「けいおん!」でお馴染み、放課後ティータイムより、『私の恋はホッチキス』のコード進行分析をしていきます。

ここからの内容は、er-music編集部の独自の見解になります。 読者様との解釈に相違がある場合も、考え方の一例、また娯楽の一環としてご覧ください。 また、ダイアトニックコードの理解があるとより楽しめるかと思います。 >>ダイアトニックコードについて

全体を通して

この曲の基本情報

  • 作詞/作曲/編曲:稲葉エミ/藤末樹/百石元
  • キー:F
  • BPM:130
  • 発売:2009年7月22日

ギター・ベース共に歪んでいて、ドラムもパワフルで迫力があります。
イントロも印象的で、ライブ映えしそうなロックな曲調ですね。

テーマは、片思いでしょうか。
複雑なコード進行ではありませんが、随所に「片思いの様子」を感じさせるような工夫を感じられました。

イントロから順に解説していきます。

イントロ

Musical score-intro

1~4小節目【B♭M7→F】

キーFのダイアトニックコードでは、Fが一番目(I)のトニックコード、B♭が4番目(IV)のサブドミナントコードです。

今回の『B♭M7→F』のような『IV→I』の進行は、アーメン終止と呼ばれています。
IV(サブドミナント)にある叙情的(エモーショナル)な雰囲気から、安定的なトニックへの進行には、エモーショナルな雰囲気を感じます。

コードのポイント
また『M7』のコードは、単純なB♭よりも明るさが減って聞こえます。
M7という不協和な音程が含まれるため、少し不安定さが加わった響きにます。
元がメジャーコードですので、明るい中の不安定、暗さが少し切なくも感じさせます。

5~8小節目【B♭M7→Gm7/C】

『Gm7/C』はドミナントの役割があるため、次にFへ進行することを予感させます。

ただし、単純な『C』よりはドミナント感が薄く、Fへの解決感も薄れます。
このコードタイプは、おしゃれな楽曲でよく使われます。
力強い解決力がな分クールな印象を感じます。

えるるん
『Gm7/C』を言い換えると『C9sus4』。
Csus4のような響きをするんだ!

Aメロ

楽譜Aメロ

イントロに比べ、ピアノの伴奏がなくなり少し落ち着いた印象に。
メロディーを見ても、音数の少ない下行メロディーが中心で落ち着きを感じます。

それでも、バッキングとドラムのリズムが心地いい速度感を感じさせます。

1~2小節目【F→Gm(omit5)→Am(omit5)】

omitは「その音を省略して」という指定です。
omit5なら5度の音を抜いた1度3度の和音で演奏をします。

『F→Gm(omit5)→Am(omit5)』としていますが、Fが主のコードであとはオブリ的に入れられています。
オブリ(オブリガート)を簡単に説明すると、合いの手のようなものです。

1~2小節のメロディーを見てもFコードの構成音である「ファ・ラ・ド」のみで構成されています。
ドラム・ベース・ギターと演奏が重なるかっこいい箇所なので無いことにはできませんが、要は1~2小節はFコードを意識しています。

3~4小節目【C→A】

『A』はキーFのダイアトニックコード上に出てこないコードです。

このコードは、次(5小節)のDmを一時的なトニックと見立て、本来Amのコードをドミナントコードとしたものです。
これをセカンダリードミナントと言います。

この一瞬だけはDmキーの雰囲気が漂うため、暗い印象を感じさせます。

この部分の解釈
イントロではエモーショナルな雰囲気も感じましたが、ここまで全体的に明るい曲調の楽曲でした。
ここであえて、ノンダイアトニックコードで、暗さを強調する『A』を入れることで、「ハッとする驚き」と「不安感」を感じさせています。
片思いの様な高揚感不安感が入りまじり、ここでもエモさが感じられました。

5~8小節目【Dm→C→B♭→C】

ここでは、『Dm→C→B♭』とコードしていくコード進行に、前半に比べ尻すぼみで下行していくメロディーが重なっています。
落ち込んでいるような、少し憂鬱な様子まで感じさせます。

この部分の解釈

ただ、ここまでの全体的な明るさと、ボーカルの声自体の明るさに下支えされ、「落ち込んでいる」ような暗さまでは感じないかもしれません。
恋の不安な思いぐらいでしょうか

また、次に『C』へ上がって、『F』へ進行していくため、その不安をも跳ねのける「恋の楽しさ」のようなものが感じられます。

Bメロ

楽譜Bメロ

Bメロでは、バッキング、ドラムのリズムが緩まります。
Aメロにあった軽快さはなくなり、主人公が歩く速度を弱めたような雰囲気が感じられます。

1~4小節目【B♭→C/B♭→A→D】

この進行の土台には、王道進行が使われています。
本来王道進行であれば、『B♭→C→Am→Dm』という進行になりますが、アレンジされています。

王道進行について詳しくはこちら

分解して解説していきます。

B♭→C/B♭

まず初めの『B♭→C/B♭』の進行は、ベース音だけをB♭に留まらせたアレンジです。
コードの土台となるベースがとどまっているので、動きが少ない落ち着いた進行になります。

Aメロ→Bメロのバッキング変化にもマッチしています。

A

『A』はAメロでも出てきたセカンダリードミナントです。
Bメロで生まれた落ち着き、速度の緩みに緊張感が走り抜ける印象です。

D

これまではDmが使われていましたが、『D』が出てきました。
これはVIm(キーDmとしてみればIm)の3度の音が上がったコードで、Dmのラの音が半音上がった形です。
こうした終止を、ピカルディ終止と呼んだりします。

ここでも緊張感は感じますが、『A』で感じた暗さをはねのける、これまでにない明るさを感じます。

サビ

楽譜Cメロ

5〜8小節目【F→Am→Dm→C】

B♭からベースが降っていく進行です。

B♭からGmの間は、Amを差し込んでも自然ですが、あえて『F/A』としています。

このコードはFの第一転回系です。Amよりも、明るい雰囲気となります。

えるるん
転回系は、あるコードの構成音のいずれかをベース音に持ってきたコード!

10小節目【C→A/C#】

『A/C#』は、これまでにも出てきたセカンダリードミナント『A』の第一転回系です。

『A/C#』の場合、Aの長3度ド#の音がベースに来ています。

この部分の解釈
これによってベースが、C→C#→Dと半音づつ上行していく形となっています。セカンダリードミナントが与える緊張感、暗さ、また下から湧き上がるような力強さに、クライマックスのような盛り上がりを感じます。

12小節目【E♭】

『E♭』は、キーFのダイアトニックコードにはありません。

このコードは、一時的にキーFmから借りてきたコードと考えられます。

こうした元のキーで以外のところからコードなどを借りてくる手法をモーダルインターチェンジといいます。

この部分の解釈
半音上行していたベースさらに半音上がり、A/C#で与えた緊張感に加え、さらなる緊張感を感じます。
加えて、♭VIIコードはマイナーキー由来のコードであるため、曲調と相まってロックな響きが漂います。

13〜16小節目【Gm→F/A→B♭→C】

サビを8小節一塊のセクションと捉えれば、13〜16小節目は、前述の5〜8小節目に相対する部分となります。

5〜8小節目がB♭から降っていく進行だったのに対し、13〜16小節目はGmから上がっていく進行になっています。

5〜8小節目にあった落ち着いた感じではなく、迫ってくるような、込み上がる力強さを感じます。

10小節目でつけた緊張感と相まって、一層のクライマックス感を演出しています。

間奏1(1サビ終わり)

楽譜間奏

このセクションには、サビの高まりを鎮め、Aメロの温度感に上手く繋いでいく役割があります。

土台はAメロでも触れた王道進行でできています。少し切なさを感じるコード進行ですが、Aメロへ向けて徐々にテンションが上がっていく様に、前向きな印象を感じます。

4小節目【F→Gm→G#dim→F/A】

この部分は、FからB♭への動きを滑らかにする進行です。

コードのルート音を見ても分かるように、FかB♭かけて上昇していく進行をとっています。

『G#dim』はパッシングディミニッシュと言われるコードで、前のコードと次のコードをつなぐ経過音的に働きます。そのため、進行がスムーズになります。

この部分の解釈
間奏に入り、リズムは緩やかになりました。ここから、Aメロのテンション感へと、また持ち上げなければいけません。
そのきっかけが4小節目です。
4小節目のコードは、いずれも裏拍でなってますので、緩やかなリズムに勢いがつきます。ここから、ドラムの刻みも入り、Aメロにうまく導入しています。

間奏2(2サビ終わり)

楽譜間奏1

E♭、D♭は、いずれもキーFmから持ってきたコードです。

メジャーキーの中で現れるマイナーキー由来のコードですので、メジャーコードでも若干暗く、そこにロックな印象を感じます。

またノンダイアトニックコード から始まるため、まったく違うセクションが始まった「驚き」を与えられます。

 

 

音楽サブスク徹底比較!無料期間でたのしもう!

CTA-button