【真夏の夜の夢/松任谷由美】コード進行と分析

ドラマ”誰にも言えない”の主題歌『真夏の夜の夢』
この曲から始まり、『Hello, my friend』『春よ、来い』と3作連続のミリオンセールスを達成しました。

ラテンテイストな曲ながらも、キャッチーなフレーズに体踊るビートで、当時のポップさも兼ね備えていますね。

コード進行を中心に楽曲分析していきましょう。

ここからの内容は、er-music編集部の独自の見解になります。 読者様との解釈に相違がある場合も、考え方の一例、また娯楽の一環としてご覧ください。 また、ダイアトニックコードの理解があるとより楽しめるかと思います。 >>ダイアトニックコードについて

イントロ

イントロ楽譜

イントロはCドリアンフレーズで作られています。
Cマイナースケールの第6音(A♭)が半音上がったスケールです。

Aメロ

イントロ楽譜

1〜4小節目【Cm7→A♭→B♭→E♭】

『Cm7→A♭→B♭→E♭』のような『VIm→IV→V→I』の進行は、よく小室進行と言われます。

この部分だけ切り取ると、VImから始まりますがI(E♭)へ解決するので、明るく希望的に聴こえます。

7〜8小節目【F#dim7→Gsus4・G】

『F#dim7』は、次のGsus4の半音下のコードです。
あるコードの半音下のディミニッシュコードは、セカンダリードミナントの代理としてよく使われます。

チェック:セカンダリードミナントとは?
セカンダリードミナントは、ダイアトニックコード一番目のコードであるトニック(『I』あるいは『Im』)以外のダイアトニックコードを一時的なトニックと見立てて、その5度上のコードをドミナントコードに変化させたものです。 ▷セカンダリードミナントについて詳しくはこちら

今回でいえば、Gの5度上の『D7』の代理コードと言えます。
構成音を見てみましょう。ほとんど同じ音が使われていることがわかります。

コード構成音
D7D,F#,A,C
F#dim7F#,A,C,D#

Bメロ

1小節目【C7】

『C7』は、次のFmに対するセカンダリードミナントです。
Bメロ早々、ノンダイアトニックなドミナントセブンスの緊張感あるサウンドで、一瞬別の世界へ入り込んだような驚きがあります。

5小節目【G♭M7】

『G♭M7』は、キーCmのダイアトニックコードには含まれないノンダイアトニックコードです。
このコードは、モーダルインターチェンジで借用されたコードです。

イントロでDドリアンが使われているところから考えても、E♭ドリアンモードの『♭3M7』を持ってきている様に思います。

そのため、メロディーはG♭のP5(D♭)と#11(C)となっており、ドリアンモードの♭3のコードスケール、リディアンスケールが想定されています。
最も、#11の音は、次のメロディーに対するアプローチノートでもあります。

サビ

サビ楽譜

サビ楽譜後半

1〜4小節目【Fm7→B♭7→Cm7】

『Fm7→B♭7』のような『IIm7→V7(ツーファイブ)』進行は、次にE♭(I)への進行を予感させます。
Bメロの不安定で異世界的な感じに比べて、E♭へ進む期待感と安定感があります。

実際は、Cm7(VIm)へと進行しています。
ツーファイブが作った期待感は裏切られ、次へと持ち越されまています。

この期待通りに進行するのは7小節目になります。

5〜8小節目【Fm7→B♭7→E♭】

1〜4小節目は、『Fm7→B♭7』の後『Cm7』へと進行したため、サビ冒頭に感じた期待感を裏切られた形となりました。

今度は『Fm7→B♭7→E♭』へ進行し、より明るく希望的な進行となりました。

序盤4小節の期待も含め、ここで回収することで、一層の安らぎが生まれています。

まとめ

メロディーを見れば長い音符が多く難解に見えませんが、ノンダイアトニックコード・トーンが巧みに使われており、演奏や歌唱は難しくあります。

異国の情景が浮かぶコード感やパーカッションをはじめとした演奏など。今回はワンコーラスのコード進行を見ていきましたが、作曲背景をもっと深ぼっていきたいですね。

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