公開から7年たった今(2021年)でも、なお再生され続ける「アイネクライネ」。
現在では、youtube上のMV視聴回数は3億回にものぼりました。
この曲にはどんなメッセージが込められているのでしょうか。
コード進行を軸に分析していきましょう。
全体を通して
少し早めの鼓動くらいのテンポ感でしょうか。
そのため、緩やかでもありながら、何か落ち着かない様子も感じます。
歌詞もそうですが、コード進行からも『暗い』響きが際立つ箇所がいくつもありました。
どうやら、シンプルな恋愛ソングというわけではないようです。
Aメロ
1〜2小節目(G♭→D♭→A♭→B♭m)
3小節目でG♭へと帰結するので、2小節でワンセットとなるコード進行のようです。
メロディーからも2小節一塊であることがわかります。
この2小節が『B♭m』で終わるため暗めの進行でのようです。
一度トニックであるD♭に進みますが、サブドミナントのG♭からであるため強い解決感はありません。
それでも、サブドミナント→トニックの動きは明るいものなので、全体的に暗くなりすぎない進行となっています。
3小節目(F→Adim7→B♭m)
キーDのダイアトニックコードであれば、Fmのはずですが、ここでは『F』が出てきます。
『F』はセカンダリードミナントというもので、B♭mを一時的なトニックと見立て、ドミナントに変換したコードです。
『Adim7』は、セカンダリードミナントFと構成音が近しいため、代わりに使われているコードです。
厳密には、Fに♭9のテンションが付加された、F7(♭9)のルート省略型といえます。
コード | 構成音 |
---|---|
F7(♭9) | F,A,C,E♭,F# |
Adim7 | A,C,E♭,F# |
トニック(一時的に見立てているトニック)の半音下のコードであれば、ドミナントコードの代わりになります。
ディミニッシュについて詳しくはこちらをご覧ください。
7〜8小節目(G♭→D♭→A♭→G♭)
トニックであるD♭に解決するわけでもなく、同主短調のトニックBmに解決するわけでもなく…
結局サブドミナントのD♭で前半8小節目は終わります。
Bメロ
1〜4小節目
冒頭『E♭m7』も、G♭同様にサブドミナントの役割を担います。
そのためBメロもまだ、明るいのか暗いのか分かりにくいフワフワとした状態にあります。
9〜10小節目(G♭)
これまで穏やかな演奏でしたが、この2小節はとても激しく感情的な演奏をされています。
サブドミナントであるG♭は、ドミナントのA♭ほど不安定でないため、その先どこへ進行するのか予想が立てづらかあります。
次に何がどんなコードが来るのかわからない状態で約2小節間。
まさに聴者も焦らされてる状態で、サビの安定した演奏へとたどり着いた時に強く安心・感動を覚えます。
サビ
B♭mから始まりますが、D♭で解決しているところを見るとキーは依然としてD♭です。
1〜2小節目
『B♭m』から始まる進行ですが、2小節一塊とみると、トニックである『D♭』へ解決するので希望感がある進行です。
7〜8小節目
Aメロでも出てきた、『F(セカンダリードミナント)』→『Adim7(セカンダリードミナントの代理)』→『B♭m(同主短調のトニック)』の進行です。
ここまで、サビの奇数小節は1コード2拍の割り当てでしたが、1拍ごとにコードが変わります。
ラストスパート的な拍車のかけ方で、サビの中でもクライマックスとなる部分であることがわかります。
まとめ
D♭キーなのか、B♭mキーなのか。
どっちつかずで、はっきりとしない進行から、うつむき、切なさを感じている主人公の様子が想像できました。
そう考えると、単純なストーリ―でなく、主人公の感情が揺さぶられる複雑なことをうたっていると想像できます。
ほかの歌詞分析サイトをいくつか拝見させていただきましたが、この曲のテーマはどうやら「親子の話」なようです。