【ドライフラワー/優里】コード進行と分析

優里メジャー2作目の楽曲となる「ドライフラワー」

数々の国内チャートで首位を獲得しました。

メジャー1作目となった「かくれんぼ」のアフターストーリーとなっており、SNSでも数え切れないほどの拡散、言及、カバーがされています。

ここからの内容は、er-music編集部の独自の見解になります。 読者様との解釈に相違がある場合も、考え方の一例、娯楽の一環としてご覧ください。 また、ダイアトニックコードの理解があるとより楽しめるかと思います。 ダイアトニックコードとは?

全体を通して

弾き語り映えのするシンプルなローコード中心の楽曲で、よりメロディーや歌詞にウェイトを置いた作り方がされているように感じます。

全体的に『C→G→D→Em』の土台のコードがあり、ワンコーラスで見てもBメロ以外はこの進行が若干変化した形という点で同じです。
テンションを乗っけたり、コード進行に強制力の強い動きを生み出すためのセカンダリードミナントが使われています。

Aメロ

ドライフラワーAメロ楽譜

 

キーGで見ると、Aメロで使われているコードはすべてダイアトニックコードで構成されています。

特徴的な点としては、『C』が『Cadd9』、『D』が『Dsus4』になっている部分でしょうか。

1~2小節(Cadd9→G→Dsus4→Em7)

ここは、トップ2つの音を固定するためのコードアレンジと考えることができそうです。

ギターで弾いてみるとわかりやすいのですが、『レ(D)』『ソ(G)』の音が常に固定された進行になっています。

コード構成音
Cadd9C,E,G,D
GG,B,D
Dsus4D,G,A
Em7E,G,B,D

上の表のように2小節間の4つのコードに『D』『G』が入っており、そのコードを循環していく形になります。

えるるん
『Cadd9→G』の動きは弾き語りやバンド系の楽曲でよく使われます。
コードチェンジが非常に簡単なうえ、哀愁のある響きで好んで扱う方が多いのです。有名どころで言えば、「ソラニン/ASIAN KUNG-FU GENERATION」でしょうか。
もちろんキーは違うのですが、『Ⅳadd9→Ⅰ』という同じ動きをしています。

8小節目(D)

ここまでDsus4バカリ使われていましたが、8小節目は『D』が使われています。

この部分の解釈

Dsus4とEm7では2つの音が固定されているため、AメロBメロの移り代わりとしては滑らかすぎます。
BメロはAメロよりも暗く、Emキー(並行短調)と思える進行になりますので、より変化をつけるためには、「Dの方が適切だった」と考えることができます。

Bメロ

ドライフラワーBメロ楽譜

2小節目(D/F#)

ここで初めてオンコード(分数コード)が使われています。

このコードは『G→Em7』の動きを滑らかにする役割があります。

上のコードは緊張感のあるドミナントコード(D)であり、ベース音がF#であるため、安定感の強いEmコードへと自然な流れで進んでいきます。

えるるん
G→EmをGをトニックとして考えると「Ⅰ→Ⅵm」と度数で見ることができます。この動きに今回のようなⅤ/Ⅶコードを使うことはよくあります。カノン進行のアレンジパターとしても有名ですね!

5小節目(B7(#9))

Bメロ5小節目、8小節目、またサビに多く現れる『B7(#9)』のコードは、Em7へのセカンダリードミナントコードです。

セカンダリードミナントは、あるコードをトニックと見立てて、5度上のコードをそこへのドミナントモーションをとるドミナントコードに変えることができます。

これによりBm7がB7へと変化しているのです。

この部分の解釈
気になるのは#9のテンションがついていることですが、これはAメロ同様「音を固定するため」に用いられているようです。
Bの#9の音はD(レ)ですね。そう考えるとこの曲はほぼ常にレの音が含まれたコード進行になっているのです。
次のAm7sus4も同様の考え方です。

7小節目(Am7sus4)

AメロではDとGの2音が固定されていると解説しましたが、なかでも一曲を通して強く固定されているのがD音です。

先程のB7(#9)でもそうでしたが、今回はAm7sus4の『sus4』の音がD(レ)に該当します。

この曲はDの音を常に意識してコードをアレンジしているのでしょう。

サビ

ドライフラワーサビ楽譜

サビでもB7(#9)が出てきますね。

Bメロでも解説したので、ここでは割愛します。

8小節目(Cm6(9))

CmはキーGからみたサブドミナントマイナーコードとして解釈できます。

サブドミナントマイナーは、そのキーの同主短調(Gマイナーキー)のⅣmコードを借用してきたものです。

サブドミナントマイナー(Ⅳm)のよく使われる形は以下の3パターン。

  • Ⅳm
  • Ⅳm7
  • Ⅳm6

Cm6(9)の『9』は、ずっと意識して固定されていた後D音です。

えるるん
このサイトでも紹介した「きらり/藤井風」でも使われてるよ!
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まとめ:歌詞も解釈してみよう

一曲を通してD(レ)の音が常に意識されている楽曲でした。
こうした固定する音をペダルポイントと言いますが、ペダルポイントからコードのアレンジをしていくのも作曲手法の一つです。
そのせいか、楽曲にまとまりや落ち着きが強く感じられて、コードワークに煩わしさがなくボーカルが際立つように感じました。

今回は、コード進行や演奏の観点で分析を行ってきましたが、この楽曲の魅力歌詞にもあります。

『なるさんの考察日記』様では、ドライフラワーの切なさの正体を歌詞の観点で解釈されています。
是非ご覧ください。

なるさんの考察日記

優里の「ドライフラワー」を徹底考察!歌詞の意味、この楽曲の魅力を解説します。恋人と別れた女性の、切ない未練の気持ち。ドラ…

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