楽曲中に行われる転調は、多くの場合で、元の調から関係の近しい調へ行われています。
主調との関係が近しい調は近親調と呼ばれており、転調のしやすい調と言えます。
近親調の種類は以下の通りです。
近親調の種類
- 同主調
- 平行調
- 属調
- 下属調
今回は、同主調について詳しく解説するとともに、同主調へ転調する例を紹介します。
同主調とは
同主調とは、同じ主音をもつ2つの調を指す言葉です。
例えば、ハ長調(Cメジャーキー)から見て、ハ短調(Cマイナーキー)は同じ主音をもつ別の調であり、同主調の関係にあると言えます。
主調がハ長調であれば、ハ短調を「同主短調」、あるいは単に「同主調」と呼びます。
主調がハ短調であれば、ハ長調を「同主長調」、あるいは単に「同主調」と呼びます。
主調と同主調の関係
下の5度圏表では、調同士の調号の変化を簡単に確認できます。
右に行くと#が一つつき(♭が一つ減る)、左にいくと♭が一つつきます(#が一つ減る)。
(5度圏の名の通り、右に行くと5度上、左に行くと5度下の調が順に並んでいます。)
ハ長調(Cメジャーキー)を例に見てみると、3つとなりに同主短調であるハ短調が確認できます。
これは、調号3つ分異なる調であるこということです。
別の記事で紹介します他の近親調は、「調号が変わらない」か「調号一つ分の違い」しかありません。
それらに比べると、同主調は構成音の変化が大きい調なのです。
ただ、主音が同じ同主調も近親調の仲間です。
他の近親調は、いとこやご近所さん。
同主調は、性格の違う双子の兄弟のようなイメージです。
同主調への転調
日本のポピュラーミュージックでも、しばしば同主調への転調が行われます。
がらっと雰囲気が逆転した様に感じますが、一貫性は感じられます。
ここからは、日本のヒットソングを参考に、同主調転調を見ていきましょう。
めざせポケモンマスター/松本梨香
Bメロ:Aメジャーキー
Aメロ最後は、Aメジャーキーのトニック(I)である『A』に進み、同主長調へ転調します。
もうええわ/藤井風
Bメロ:Eメジャーキー
下の譜例は、『もうええわ』のAメロ後半から、Bメロ冒頭の部分です。
AメロはEマイナーキーで、暗く落ち込んだ様な雰囲気が感じられます。
一方Bメロは、同主長調へ転調し、安らぎ感があります。
まとめ
同主調は、非常に関係の近しい調ではありますが、まさに表裏一体な調です。
「明るさと暗さ」の様に、相対する雰囲気をうまく取り入れられると、より深みある楽曲が作れるかも知れません。
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