ハッピージャムジャムは、皆さんご存じ『しましまとらのしまじろう』のエンディングテーマ。
最近ではSNSでカバーされるようになり、とうとう作曲者本人の樫原伸彦がそれに関しツイートされました!
「ハッピー・ジャムジャム」のコード進行が検索されているとのことでしたので、オリジナルKeyとin Cのイントロ〜ワンコーラスを掲載しました。じゃんじゃんカバーしてアップして今世をハッピーにしちゃってくださいね! https://t.co/eZbGCRGrek
— 樫原伸彦 (@nobuchang) April 8, 2020
最高にハッピーな楽曲を分析していきましょう!
なお五線譜の下に書かれた分析記号については、理解していなくても読み進めることができます。
全体を通して
4つ打ちの踊れるビートに、明るいコード進行が最高にハッピーにさせてくれる一曲です。
今回ワンコーラスを見ていきますが、ほとんどが明るい響きのメジャーコードで形成されています。
コード進行の特徴としては、よくA♭マイナーキーからコードが借用されています。
モーダルインターチェンジと言うこともできますね。
主に、よく使われている以下のコードは、マイナーコードの暗い響きがいい感じにロックな雰囲気醸し出します。
- G♭
- C♭
間奏部分では激しいギターソロがあったりと、ロックな印象がところどころ感じられますね。
イントロ
1~2小節目(E♭→D♭/F→G♭→E♭/G)
区切るならばここは「イントロ1」と言うべきでしょうか。
この後3〜6小節目への導入部分となっています。
まずベースの動きに着目してみると、『E→F→G♭→G』となっていて、3小節目頭でA♭(トニック)に到達します。
3小節目(A♭→G♭)
区切るとすれば、ここからが『イントロ2』。Aメロまで一度もマイナーコードしか出てきませんね。とってもポップで明るい印象があります。
ここでの『G♭』は、A♭マイナースケールから借りてきた♭Ⅶ(7番目のコード)。
先程の2小節にも出てきましたね。
メジャーコード続きですが、マイナーキーのコードが出ることで陽気な感じになりすぎず、クールな印象まで感じます。
6小節目(C♭)
『C♭』は、A♭マイナースケールの♭Ⅲ(3番目のコード)を借りてきたものです。
Aメロ
Aメロもマイナーキーのエッセンスが感じられます。明るすぎずクールな雰囲気ですね!
2~3小節目(E♭m7→A♭→D♭)
『E♭m7→A♭』の流れは、次のD♭を一時的なトニックと見立ててツーファイブワンの進行を行なっています。
D♭キーでいう、Ⅱm7(2番目のコード)がE♭m7、Ⅴ(5番目のコード)がA♭となっています。
このE♭m7は、A♭マイナースケールからの借用和音とも考えられます。ここもなんだか落ち着いてクールにかんじます!
4小節目(D♭m7)
ここでの『D♭m7』は、サブドミナントマイナーとよばれるもの。
このコードもA♭マイナーキーのⅣm(4番目のコード)を借りてきたとも考えられます。
すこし、悲しげで落ち着いた雰囲気を感じさせますね。
6小節目(Cm7/F→F7)
『Cm7/F→F7』の進行ですが、その構成音から『F7sus4→F7』に近い響きを感じさせます。
この動きで、あたかもF7がドミナントコードのようにも聞こえます。
Aメロ2小節目でも出てきた、ツーファイブの進行にとれるからです。
そう考えれば、次進むべきはB♭m7あたりでしょうが、実際はD♭に進んでいます。
これは、B♭m7とD♭が近しい構成音をしているから代わりのコードとして使われているのでしょう。
こういった、近しい響き・機能をもつ関係を代理コードと言います。
サビ
1〜3小節目
まず1〜2小節目は王道進行と呼ばれるものですね。
A♭キーの4番目のコードから始まっており『4→5→3→6』 の動きを形成していますね。
3小節目は、その動きを代理コードに置き換えA♭に上手く着地しています。
4~5小節目(A♭7→D♭)
A♭7は、次のD♭を一時的なトニックと見立てたドミナントセブンスコードです。
セカンダリードミナントと呼ばれるもので、これを使うとさまざまなシチュエーションで、ドミナントコードに変換することができます。
6小節目(C7/E→Fm)
『C7』は先程の、A♭7同様セカンダリードミナントです。
次のFm7を一時的にトニック見立てて、ドミナントコードに変換しているのです。
7小節目〜8小節目(B♭m7→A♭/C→D♭→D♭/E♭)
6小節目の暗いイメージから一転、ベース音が駆け上がっていき、間奏頭のA♭へと着地する明るく希望感のある進行です。
『A♭/C』は、よくCm7としても上昇の役割を果たしますが明るめのA♭となっています。
『D♭→D♭/E』の進行では、コードの変化が最小限になっていて落ち着いた印象があります。
まとめ
ところどころにハッとするスパイスが盛り込まれた楽曲でした。
マイナーな雰囲気を醸し出す部分はあれど、終始明るく、愉快な楽曲でしたね。
オンコードを使った、メジャーコード・マイナーコードのコントロールは非常に勉強になります。