現代の若年層でも一度は聞いたことがあるでろう超名曲ですね。
イントロ
イントロはドラムのフィルインから開始します。
コード進行は『C→G→Am→F』の単純な繰り返しです。
4つのコードで構成されるコンパクトな進行ですが、トニック(C)から始まりサブドミナント(F)で終わる進行のため、明るさがあるが少し盛り上がりに欠ける進行です。
そこに、穏やかさがあり優しい雰囲気が漂います。
- チェック:「トニック」とかってなに?
- 音階の一番目の音をトニック、四番目の音をサブドミナント、五番目の音をドミナントと言います。 また、ダイアトニックコードの一番目のコードをトニックコード、四番目のコードをサブドミナント、五番目のコードをドミナントコードと言い、それぞれをコードの機能といいます。 簡単に言うと、トニックコードは安定的。ドミナントコードは非常に不安定。サブドミナントはその中間的なイメージです。 ▷トニック・サブドミナント・ドミナントについて詳しくはこちら
Aメロ
コード進行
Aメロとは違い、8小節が一塊のコード進行です。
このコード進行は、おなじみ「カノン進行」と呼ばれるものです。
加えて、1小節1コードとして、それぞれのコードが十分な尺を持っています。
明るく感じるCコードや暗く感じるAmなど、コードごとの雰囲気がしっかりと感じ取れて、明暗のあるドラマチックなコード進行となっています。
メロディー
メロディーは、最初4小節が上行意識、後半4小節が下行意識でつくられています。
そのため、序盤は、気持ちが明るくなる様な前向きな雰囲気がを感じます。
Cメジャーキーの中で『Am』は暗く響きますが、メロディーが明るい雰囲気を支えています。
コードの持つ暗さと、メロディーの持つ前向きさが、豊かな感情の様子を演出しています。
一方、後半は落ち着きを感じさせるメロディーです。
この曲に「優しく穏やかな印象」を感じましたが、8小節の中でみる前半の明るさと、それを落ち着かせる後半の工夫が効いている様に思います。
サビ
コード進行
コード進行は『Am→Em→F→C』の2小節一塊で構成されています。
暗さを感じる『Am』から始まりますが、その暗さは『F』で緩和され、明るい『C』へと到達します。
「暗いところから明るいところへ」進んでいく様に、力強さや希望感があります。
ちなみに
この進行も『Let it be/ビートルズ』と似ています。
Let it beのサビの2小節です。
Let it beにも、「Aメロの穏やかさとサビの力強さ」を感じましたが、コードが似ているためかチェリーにも似た印象を感じました。
チェリーを作曲する際のテーマや、土台としてLet it beの存在があったのかもしれません。
メロディー
音価の長さ
Aメロに比べて、音価の長い4分音符が目立ちます。
Aメロの様なリズミカルさが目減りする印象ですが、その分一音一音の重みが増した様に感じます。
自然に耳が歌詞にいき、よりメッセージが伝わります。
コードとのシンクロ
コードに合わせ、「力強さ」と「穏やかさ」を調整している様に感じます。
2小節一区切りとして、前半1小節と後半1小節を見ていきましょう。
前半は、暗いコード進行ですが3度の跳躍が目立つ上行メロディーで、暗さを打ち破る様な「力強さ」「ポジティブさ」を感じます。
後半は、明るいコード進行ですが緩やかな下行メロディーで、盛り上がりはなく落ち着きがあり「穏やかさ」を感じます。
そのため、奇数小節は印象・インパクトが強く、偶数小節がそれを落ち着かせる役割となっています。
前半で力強く、徐々に落ち着かせていく流れは同じだね!
間奏
Cメロの前に3小節の間奏が入ります。
特徴的なのは『B♭M7』というノンダイアトニックコードです。
このコードは、モーダルインターチェンジによるコードで、ミクソリディアンモードの『♭VIIM7』を使っています。
- チェック:モーダルインターチェンジとは
- モーダルインターチェンジは、長調(メジャーキー)の楽曲の中に、同主短調(マイナーキー)など、別の場所からメロディーやコードを借りてくるような手法です。 厳密に言うと、長調・短調の考え方とは異なる「モード」という概念を使います。「Aメロはハ長調(Cメジャーキー)、Bメロはハ短調(Cマイナーキー)」など、異なる調性を感じさせてしまう場合は転調といいます。 ▷モーダルインターチェンジについて詳しくはこちら
モーダルインターチェンジによって、Cメジャーキーの世界観から外れ、一瞬別の世界に迷い込んだ様な雰囲気が漂います。
これまで穏やかで優しさ溢れる雰囲気があったからこそ、この一瞬に感じる「違和感」「不安定感」「いい意味での気持ち悪さ」は、たった3小節でも流れを断ち切り、雰囲気を大きく変えます。
Cメロ
コード進行
『FM7→Am7』だけの暗めで単調なコード進行です。
特徴はセブンスコードが使われていること。
セブンスコードはこれまでのトライアドのコードに比べて、不協和音を含むため安定感に欠けます。
Aメロやサビに比べると、血に足つかない様な、少しふわふわした印象があります。
間奏の『B♭M7』でつけた、これまでとは決定的に違う違和感や不安定感を、この曲のポップさを保ちながら受け継いでいるイメージです。
メロディー
暗めのコード進行に呼応して、メロディーも明るさを感じません。
音符を見てみると、上行があっても、必ず最後は落ちる様にできています。
これまでのAメロやサビとくらべて、メロディーの方向性がはっきりせず、ここも不安定さを感じるポイントです。もちろんコードの兼ね合いがあってのことですが。
この後、イントロと同じ構成の間奏が流れ、またAメロへと進行します。
Cメロの不安定感は、次の間奏・Aメロでゆっくり解消されていき、最後のサビへと進みます。
ちなみに
このコード進行は、ビートルズ『Let it be』のAメロにも使われている進行です。
『Let it be』も非常に穏やかで、少し切なすら感じます。
「どのコードで始まり、どのコードで終わるか」を考えることで、シンプルで少ないコードでも色々な表現ができますね。