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【カブトムシ/aiko】コード進行と分析

もうすでに多くも方にカバーされ、考察されてきた超名曲『カブトムシ』

今回も、カブトムシのコード進行を分析していきましょう。

ここからの内容は、er-music編集部の独自の見解になります。 読者様との解釈に相違がある場合も、考え方の一例、また娯楽の一環としてご覧ください。 また、ダイアトニックコードの理解があるとより楽しめるかと思います。 >>ダイアトニックコードについて

全体を通して

この曲の情報

作詞/作曲:aiko

キー:E♭

BPM:

発売:

スロウテンポなバラードソングですね。
遅いテンポは、「優しい雰囲気」「悲しい雰囲気」なんかを感じさせますが、この曲はどうでしょう?
歌詞も合わせてみてみると、「愛する人がなくなってしまった悲しさ」と「そこへの深く美しい優しい愛」歌っている曲のようです。

この曲を名曲たらしめる理由には、メロディーや歌詞とさまざまあるでしょうが、コード進行もすばらくおおくの方に評価されています。

中でも、サブドミナントマイナーや、ベースラインクリシェ(この曲ではベースラインの半音下降をさす)が特徴的です。
いずれも、もどかしさや哀愁のようなものを感じますが、この曲の『エモさ』作り出す重要な部分となっています。

イントロ

楽譜イントロ

1~2小節目(E♭→Fm→Gm)

キーのE♭のスケールにそって、『E♭→Fm→Gm』と上昇していくコード進行です。
明るく、期待感が持てる進行ですが、次のコードで一転します。

2小節目(Gsus4→G)

ここで、ノンダイアトニック『Gsus4』『G』が入ります。

これは、セカンダリードミナントと呼ばれるもので、『Gm』を次の『Cm』に向かうドミナントコードに変換した形です。
ここまで明るい進行でしたが、一気にCmキーになったような暗い雰囲気を感じます。

えるるん
この時点で、「単に明るい曲ではなさそう」ってイメージできるよね。

3小節目(F/A)

このコードも要はセカンダリードミナント。
次の『Fm7/B♭』に進む、ドミナントコードに変換されています。

そのうえで、Fの構成音であるA(ラ)の音をベース音に持ってきた第一転回系という形をとっています。オンコードや分数コードと言われるものです。
特徴音である、A(ラ)がベースにありより色濃くノンダイアトニックな響きを感じますね。

次のコードへ半音下からアプローチする滑らかな動きとなっています。

4小節目(Fm7/B♭)

Fm7にコードとしてとどまりながら、ベース音のみB♭(シ)に動いています。

上のコードはFm7ですが、オンコードでない形に戻すとほとんど『G7sus4』と変わりません。そのためドミナントとしての力があり、次のE♭(トニック)へと自然な動きで進んで行きます。

この部分の解釈
こういったコード(Ⅱm7/Ⅴ)アレンジは、ドミナントコードの代わりとして、おしゃれ系の曲でよく使われます。(例えば、Official髭男dismとか…)
『Fm7→B♭→E♭』でもいいのですが、『Fm7→Fm7/B♭→E♭』とした方がコードの変化が少なく、よりスムーズでがつがつとした感じがなくおしゃれに感じます。

Aメロ

楽譜Aメロ

1小節目(E♭)

キーはE♭。最も安定感があって明るい、E♭(トニックコード)から曲がAメロが始まります。

単純なE♭のコードですが、ここではメロディーがE♭に対する9th(D♭音)からスタートします。
どっしりと安定した感じではなく、奥行が広がりふわっとした雰囲気があります。

えるるん
なんだかアンニュイな雰囲気も感じるね!

2小節目(B♭/D)

次の『B♭/D』はオンコードです。B♭の第一転回系と呼ばれるもので、B♭の構成音『D』をベース音にしたパターンです。

これにより、先ほどのE♭からベースラインが半音で下降するようになり、スムーズな進行になっています。
このままコードが下降していくことが予想できます。実際に、次は『Cm7』へと進んでいきます。

3小節目(Cm7→B♭m7→E♭7)

『Cm7』までベースラインが下っていくスムーズなコード進行が続いています。
Aメロは、こうした下降の進行がメインになるようです。

すると、普通であれば『Cm7→B♭→A♭』と進行するべきでしょうが、実際は『B♭m7→E♭7』と進みます。

この『B♭m7→E♭7』は4小節目のA♭M7へスムーズに進行させる工夫です。
この瞬間だけ、A♭をキーとみてツーファイブワンという進行をとっているのです。

5~6小節目(Gm7→C7→Gm7/B♭)

Gm7から4度上のコードに進みますが、3小節目のCm7 と違い『C7』となっています。

『C7』は、Fmを想定したセカンダリードミナントと考えられます。
実際には、Fmに進まずGm7/B♭を経由し、A♭へとすすみます。

FmとA♭は近しい響きをする代理コードの関係性がありますので、比較的スムーズに進行しているように聞こえます。

この部分の解釈
単にメロディーに合わせ『C7』にかえているとも言えますが、セブンスコードですので、解釈するとしたら上記のようになりました。
C7のようなⅥメジャーはいろんな楽曲でよく使われるコードですので、そういった解釈抜きにして感覚的に使っていることも考えられます。
いずれにせよ、転調に近い「変化した雰囲気」を感じ、一瞬の驚きが感じられます。
歌詞を見てみると、自分の気持ちと相反するセリフを読んでいる部分ととれます。
演奏の観点でも、変化を与えることでこの部分がより強調されているようです。

8小節目(A♭m)

『A♭m』はサブドミナントマイナーコードです。
文字通り、サブドミナントという役割を持つA♭が、マイナーコードに変化したものです。

E♭マイナーキーから借用してきたコードということもでき、マイナーキー特有の暗さがあります。
それを、メジャーキーの中で使うことで哀愁がある響きに感じます(感じ方は人それぞれです)。

(余談ですが、モーダルインターチェンジという解釈もできます。同主調のマイナーキーはモードという概念ではエオリアンモードと呼ばれ、そういった別のモードからコードを借りてくることをモーダルインターチェンジと言います。)

この部分の解釈
歌詞を見てみましょう。(Aメロ5小節目から書き出します。)
「どうした早く言ってしまえ」そう、言われてもあたしは弱い
A♭mの部分は、「弱い」の部分です。
主人公の弱音が垣間見えるときに、暗く悲しさのあるサブドミナントマイナーを利用しいるのです。
イヤホン越しでも、感情の起伏がよく伝わってきますよね。

Bメロ

楽譜Bメロ

1~2小節目(Cm→B♭)

Bメロは、Cmからスタートします。
そのため、Bメロ単体で見ると暗さの目立つセクションで、ある意味ではCmキーに転調しているともいえそうですね。(キーE♭とキーCmは同じ音で構成されています。)

えるるん
Bメロで一度くらい雰囲気に落として、盛り上がりのあるサビに進んで行くというパターンだね!

5小節目

ここは2/4小節となります。

サビ

楽譜サビ

楽譜サビ(2)

1~3小節目(E♭→Fm→Gm→G7→G7/B)

イントロと同じような進行ですね。

3小節目では、『G7/B』と第一転回系の形をとっています。
次のCmへと半音下からアプローチする形になるので、よりCmの暗い響きが強まります。

えるるん
イントロよりも、暗さとか不安な要素が増したように感じるね。

4小節目(A♭→A♭m6)

Aメロにも出てきたサブドミナントマイナーコードがここにも出てきます。それが『A♭m6』です。
このような6thコードもサブドミナントマイナーすることができます。

メロディーもA♭からみた6thの音にいってますね。

5小節目(Gm→G♭6)

Gmは特段変わりありませんが、G♭6が特徴的ですね。

このコードは、E♭マイナーキーから借用してきた♭Ⅲというコードです。
こうすることで、きれいに半音下降する進行ができています。

メロディーもG♭から見た6thの音に行っています。

この部分の解釈
半音で下降する間、「もどかしい」「切ない」雰囲気が続きます。
サブドミナントマイナー含めマイナーキーからの借用和音ですので、暗さと明るさを兼ね備えたアンニュイでふわふわとした響きに感じます。

13小節目(Am→A♭6)

先ほどの4小節目と違い、Amからの半音下降となっています。

JPOPの定番パターンでいえば、ここはAm7-5となるのが定石ですが、あえてAmとしています。

このコードは、14小節目『Gm』 にツーファイブワンの動きをとるための『Ⅱm(リレイテッドⅡm)』だと考えられます。
マイナーコードへのツーファイブモーションなので先ほどよりも暗く聞こえます。

そうであると仮定するのなら、次の『A♭6 』が4小節目のようにサブドミナントマイナーではない理由がわかります。
Gmにツーファイブをとるならば、『Am→D7→Gm』ように進行します。A♭6は『D7』の代わりとなる裏コードと解釈することができ、Gmへのドミナントの役割をしているのです。

 

この部分の解釈
なんだか、4小節目よりも「もどかしく」「悲しい」響きが増したと思いませんか。
前述したとおりGmへのツーファイブモーションがあること、半音下降がさらに増えたことがこの感じさせる要因だと考えられます。
さらに、Cmに着地してから、もう一度この進行を続けます。
もどかしさを究極にまで高め、『Fm7→Fm7/B♭→』でE♭に解決する。
最高に霧が晴れたような爽快感を感じます。
Amというなかなか使われないコードワークを使用したのも、この曲のクライマックスとなる重要な部分を目立たせるためなのかとも思います。
ちなみに、半音階で下降していくコード進行はベースラインクリシェと呼ばれています。(『クリシェ』とは厳密には異なる解釈です。)

間奏

楽譜間奏

2小節目(BM7→A♭/B♭→G/B)

『BM7』もE♭マイナーキーから借りてきたコードです。
このコードは、E♭からみた短6度の音が特徴的で、サブドミナントマイナーとにた響きをしています。
ですので、サブドミナントマイナー(A♭m)の代理コードとなります。

『A♭/B♭』では、A♭までコードが動きますが、ベース音はB♭どまりな形です。
次の『G/B』で、Cmへ半音上昇するアプローチが完成しています。

『G/Bは』Cmへのセカンダリードミナントである、Gの第一転回系です。

4小節目(Am7-5→Fm7/B♭)

Am7-5(#Ⅳm7-5)はトニックの代理コード(この場合E♭)としても用いられたりします。同様にCmもトニックの代理コードですが、Am7-5はCmのルート音をそのままAまで下げた形です。

次の『Fm7/B♭』へと半音で進行するスムーズな形となっています。

この部分の解釈
ここまで何度もベース音の半音階アプローチが登場しました。
今回も、『Fm7/B♭→(次のE♭)』への進行をスムーズに行うためにAm7-5を使っているように感じます。
様々なノンダイアトニックコードやオンコードが出てきましたが、どれもベースの動きを大切にしているようです。

まとめ

悲しさと愛情に満ち溢れた楽曲でした。
悲しみも感じるコード進行も、それがあるだけ明るい部分が目立ち、晴れやかな希望的なさまを感じさせます。

今回はコード進行を軸に分析を行ってきましたが、そのほか演奏や作詞の細部にまでこだわりやセンスを感じました。

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