【帰ろう/藤井風】コード進行と分析~悲さと爽さの両立

2020年5月20日にリリースされた1stアルバム『HELP EVER HURT NEVER』に収録されている壮大なバラードナンバー。

ここからの内容は、er-music編集部の独自の見解になります。 読者様との解釈に相違がある場合も、考え方の一例、娯楽の一環としてご覧ください。 また、ダイアトニックコードの理解があるとより楽しめるかと思います。 ダイアトニックコードとは?

イントロ

楽譜イントロ

1~5小節目

コードDM7→Aadd9/C♯→Bm7→D/E→DM7→Aadd9/C♯→Bm7→D/E→Dm6
ディグリ ー表記ⅣM7→Ⅰadd9/Ⅲ→Ⅱm7→Ⅳ/Ⅴ→ⅣM7→Ⅰadd9/Ⅲ→Ⅱm7→Ⅳ/Ⅴ→Ⅳm6

 

ⅣM7から始まり、次のⅠadd9/ⅢⅠadd9の長3度がルートにきている第一転回形のオンコード

これは藤井風さんがよく使うコードで、「旅路」やMISIAさんに提供した「Higher Love」でも聴くことができます。

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2小節目と4小節目のⅡm7→Ⅳ/Ⅴはツーファイブですが、この楽曲ではⅤ7の代わりにⅣ/Ⅴが使われています。

Ⅳ/ⅤⅤ7に比べて緊張感が弱く、ドミナントとして用いることができる為、ポップスにおいては頻繁に使われます。

 

Ⅳm6サブドミナントマイナーがマイナーになったコードで、切ない響きをもっています。

Aメロ

楽譜Aメロ

 

1~8小節目

コードAM7→DM7→C♯m7→F♯m7(9)→Em7(9)→DM7→C♯m7→C7→Bm7→C♯m7→Dm7→Bm7/E→E7(♭9,♭13)
ディグリ ー表記ⅠM7→ⅣM7→Ⅲm7→Ⅵm7(9)→Ⅴm7(9)→ⅣM7→Ⅲm7→♭Ⅱ7→Ⅱm7→Ⅲm7→Ⅳm7→Ⅱm7/Ⅴ→Ⅴ7(♭9,♭13)

 

1-4-3-6とスムーズな強進行で進み、Ⅴm7(9)へ。これはドミナントマイナーといい、一般的にはⅣM7あるいはⅠ7に進むことができるコードです。

 

ⅣM7→Ⅲm7→♭Ⅱ7→Ⅱm7と、ルートが半音ずつ下降していく進行。

♭Ⅱ7裏コードと呼ばれ、トライトーンをもっているコードである為、Ⅴ7の代理として使うことができます。

ここではⅢm7Ⅱm7を半音でスムーズに繋ぐ経過的なコードとして使われています。

 

Ⅱm7→Ⅲm7と上昇していき、Ⅳm7へ。

Ⅳm7はイントロで出てきたⅣm6と同じく、サブドミナントマイナー

 

Ⅱm7/Ⅴはイントロで出てきたⅣ/Ⅴとほぼ全く同じ構成音のコードで、ここではⅤ7(♭9,♭13)へのクッションのような役割をしています。

Ⅴ7(♭9,♭13)は、Ⅴ7にオルタードテンションの♭9♭13が付与された暗い響きのジャジーなドミナントコード。

 

9~16小節目

コードAM7(9)→DM7→C♯m7→C♯7(♭9)/E♯→F♯m7→Em7→DM7→C♯m7→Cm7→Bm7→Bm7/E→E7(♭9)
ディグリ ー表記ⅠM7(9)→ⅣM7→Ⅲm7→Ⅲ7(♭9)/♭Ⅵ→Ⅵm7→Ⅴm7→ⅣM7→Ⅲm7→♭Ⅱm7→Ⅱm7→Ⅱm7/Ⅴ→Ⅴ7(♭9)

 

Ⅲ7(♭9)/♭ⅥセカンダリードミナントであるⅢ7(♭9)の長3度の音がルートに来ている第一転回型のコード。

♭Ⅵは次のⅥm7へ半音下からスムーズにつながるベースラインになっています。

 

 

Bメロ

楽譜Bメロ

 

1~4小節目

コードFM7(9)→Em7→Am7(9)→Dm7→Dm7(♭5)/G→CM7→Gm7(13)→F♯7(♭5)
ディグリ ー表記ⅣM7(9)→Ⅲm7→Ⅵm7(9)→Ⅱm7→Ⅱm7(♭5)/Ⅴ→ⅠM7→Ⅴm7(13)→♯Ⅳ7(♭5)

 

BメロはCメジャーキーに転調しています。

 

3小節目のⅡm7(♭5)/ⅤはAメロでも使われたⅡm7/ⅤⅡm7Ⅱm7(♭5)になった形。

Ⅱm7(♭5)/Ⅴの減5度は、からみた♭9であるため、Ⅴ7(♭9)に似た響きを感じます。

 

5~8小節目

コードFM7→Em7→Am7→Dm7→Dm7/C→B7(♭9)→Em7(9)→Em7/A
ディグリ ー表記ⅣM7→Ⅲm7→Ⅵm7→Ⅱm7→Ⅱm7/Ⅰ→Ⅶ7(♭9)→Ⅵm7(9)→Ⅵm7/Ⅲ

 

Ⅵm7(9)→Ⅵm7/Ⅲは、元のAメジャーキーから見るとⅤm7(9)→Ⅴm7/Ⅰというサビ頭のⅣM7に対するツーファイブであり、この時点でAメジャーキーに戻ってきていると解釈できます。

 

サビ

楽譜サビ

 

1~4小節目

コードDM7(9)→C♯m7→F♯m7→Bm7→Bm7(♭5)/E→AM7→D♯7(9)
ディグリ ー表記ⅣM7(9)→Ⅲm7→Ⅵm7→Ⅱm7→Ⅱm7(♭5)/Ⅴ→ⅠM7→♯Ⅳ7(9)

 

Ⅱm7→Ⅱm7(♭5)/Ⅴ→ⅠM7はBメロと同様の流れ。

 

5~8小節目

コードDM7(9)→C♯m7→F♯m7(♭9)→F♯m7/B→B7→Em7→Em7/A→A7(♭9)
ディグリ ー表記ⅣM7(9)→Ⅲm7→Ⅵm7(♭9)→Ⅵm7/Ⅱ→Ⅱ7→Ⅴm7→Ⅴm7/Ⅰ→Ⅰ7(♭9)

4→3→6と基本的な流れは同じですが、ここではⅥm7(♭9)のテンションが付いています。

 

3・4小節目のⅥm7(♭9)→Ⅵm7/Ⅱ→Ⅱ7は、Ⅵm7→Ⅱ7というツーファイブ上で、Ⅱm7→Ⅱm7/Ⅴ→Ⅴ7とほとんど同じことをやっています。

Ⅵm7/Ⅱ→Ⅱ7Ⅱ7sus4からⅡ7に解決するような感覚で使われています。

F♯m7/Bの構成音は(ファ♯、ド♯、)、B7sus4の構成音は(ファ♯)と、ほぼ同様。

 

8小節目のⅤm7は、セカンダリードミナントであるⅠ7(♭9)に向かうリレイテッドⅡm7です。

また、ここでもⅤm7Ⅰ7(♭9)の間にはⅤm7/Ⅰがクッションの役割で入ってきています。

これも3・4小節目のⅥm7/Ⅱ→Ⅱ7と同様に、Ⅰ7sus4からⅠ7の解決のような役割を果たしています

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