【燃えよ/藤井風】コード進行と分析

YOUTUBEで生配信された『Fujii Kaze “Free” Live 2021』

そこで披露された新曲「燃えよ」。
強い情熱と、混沌とした現代にメッセージを残しているかのような一曲で、曲のまま踊り狂うというよりは、聞いているこちらも真剣に見入ってしまいました。

今回はこの楽曲のコード進行を分析していきます。

ここからの内容は、er-music編集部の独自の見解になります。 読者様との解釈に相違がある場合も、考え方の一例、娯楽の一環としてご覧ください。 また、ダイアトニックコードの理解があるとより楽しめるかと思います。 ダイアトニックコードとは?

全体を通して

ますますエレクトロの要素が強くなってきて、グルーブだけでなくサウンド面でも踊れるような楽曲です。
個人的には、「恥じらいを捨て、力強く生きろ」というようなメッセージ性を感じました。

構成

『イントロ→Aメロ→サビ1→サビ2』と進行していきます。

Aメロで冷静に今を見つめ、サビ1でなにか決意をし、サビ後半で前へ進みだす。
そんな物語を感じました。

サビ1は、サビ2と進行もメロディーも同じなので(キーは異なる)同じサビと判断していますが、ストーリー性を見るとBメロの役割を果たしているとも言えますね。

転調パターン

Aメロ、サビ1、サビ2が、それぞれ別のキーで構成されています。
ワンコーラスの中で2回も転調が起こるのです。

転調には規則性があり、すべて全音上へと転調しています。
そのため、調整の♭が2つづつ減っていきます。

  • Aメロ:キーA♭(♭4つ)
  • サビ1:キーB♭(♭2つ)
  • サビ2:キーC(♭0)

イントロ

※サビまでBPM69でとっています。わかりにくく申し訳ありません。

楽譜イントロ

*Aメロと同じ調合で記していますが、この時点ではまだ同じキーとは言えません。

イントロのFM7⇒Fm7では、ベース音のみ下降し続けています。
コードは単純ですが、ダイアトニックコードの枠組みからはずれ、不思議な雰囲気が漂っています。

Fm7はAメロに行くためのコード

FM7は最初に鳴らしたいコード、Fm7は次のAメロのキーに転調するためのコードでしょう。

AメロのキーはA♭です。そう見ると、Fm7はA♭の平行単調であることがわかります。

A♭M7として捉えると解釈しやすい

今回、響の観点からFm7としていますが、構成音がほとんど同じなのでA♭M7と捉えることもできます。

この場合、FM7から短3度上のA♭M7に平行移動した形になりますが、このような動きをクロマチックメディアント進行と言ったりします。

この時点では、イントロのキーがはっきりしていないので、クロマチックメディアントと言ってもいいでしょう。

この部分の解釈
この時点では、最初のFM7→Fm7の動きの正体はわかりませんが、ワンコーラスをしっかり聴いてみるとよくわかります。
サビ終わりも同じ進行で2番Aメロへと進行しているからです。
サビを起点に見てみると、キーがCになっているのでFM7は単純にⅣM7。Fm7はサブドミナントマイナーです。
このサブドミナントマイナーを、AメロのキーA♭でいうⅥmとして、スムーズに転調していると考えられます。
そう考えると、イントロはサビを作った後にできたように思えます。

Aメロ(キーA♭)

楽譜Aメロ

4小節目(F7)

キーA♭でみるとF7はノンダイアトニックコードです。

このコードは、セカンダリードミナントで、次のBm7を一時的なトニックと見立てて、ドミナントコードに変換したものです。

5小節目(D♭m6)

ここで出てくるD♭m6はサブドミナントマイナーと言われるもので、メジャーキーのⅣがマイナーコードに変化したものです。

この部分のコメント
ここでのサブドミナントマイナーは同主短調からの借用和音です。
コード独特の暗さがありながら、進行の上では哀愁を感じさせます。
「太陽が泣いているよ」の歌詞の通り、切ない響に聞こえますね。

7〜8小節目(Bm7→Gm7/C→FM7)

この進行は、FM7にスムーズに解決するためにとられていると考えられます。

この曲のキーはA♭(Fm)なのに対し、解決するのはFM7となっています。

キーFへと転調したと考えることもできますが、すぐさま元のキーへと戻るので、単にこの部分だけFM7を終止としたとも解釈できます。

えるるん
短調のトニックをメジャーとして解決することをピカルディー終止と言ったりするよ!

キーFメジャーと捉えると、Gm7/Cは『Ⅱm7/Ⅴ』であることがわかります。

この形にすることで、F(Ⅰ)にスムースに着地することができます。

サビ前半(キーB♭、BPM=138)

楽譜Bメロ

サビ前半では、全音転調しており、キーはB♭(Gm)です。

ノリは倍になっているのでBPMは138です。

2小節目(E♭m6)

転調してるからわかりにくいですが、B♭キーのⅣであるE♭がマイナーコードになっているので、Aメロにも出てきたサブドミナントマイナーです。

5小節目(A♭13)

A♭7の上に13thの音がテンションとして乗ったものがA♭13です。

キーB♭でみると、A♭は♭Ⅶの位置に当たります。

♭Ⅶ7は、Ⅳm同様サブドミナントマイナーです。

8小節目(G7)

ここでのG7もセカンダリードミナントの発想で入れているのだと思います。

サビ前半である8小節はここで一区切りし、さらに全音上に転調したサビ後半へと移ります。
もし、ここまでのサビ前半がもう一回し行われるとしたら、次のコードはサビ前半1小節目の『E♭M7』がきます。
E♭M7は『Cm7』と似た響きを持つコード(代理コードの関係)なので、「G7はCm7にドミナントモーションしようとしている。要はセカンダリードミナント」と、とらえることができます。

この部分の解釈
とは言え、この次はサビ後半へと進むので全音転調によってキーCに行くので、G7の次のコードは『FM7』になります。
そのためセカンダリードミナントは成立していません。
そこでキーCを軸に考えてみると、
サビ前半8小節目の『G7』は、サビ後半キーCのⅤ7であることがわかります。
転調先のダイアトニックコードと共通するコードを充てることで、よりスムーズに転調することができています。
こういった手法を、ピボットセクションと言います。
すると、共通のコードを作り出し、スムーズに転調するためにG7を使っていると解釈することもできますね。
えるるん
単にメロディーが、Gから見た3rdの『B音』に行きたいからG7になっていると言ってしまうこともできるね!笑

サビ後半

楽譜サビ

ここからキーCに転調しています。
基本的には、サビ前半のコード進行がそのまま全音上で行わている形です。

先ほどの8小節と同じ解釈で問題ないでしょう。

この部分のコメント
サビ前半は、どっしりと力強い雰囲気がありました。
サビ後半は、疾走感もあり、よりサビらしい盛り上がりを見せています。
ある意味では、ここが本当のサビで、さき程の8小節はBメロの役割をしているともいえそうです。

間奏

間奏部分はイントロと同じコード進行です。
イントロのコードの正体がここで明らかになります。

サビのキー(C)から見たⅣM7と、Ⅳm7(サブドミナントマイナー)ですね。
このⅣm7が、Aメロのキー(A♭)のⅥmと一致するので、ピボットセクションとなり、スムーズな転調をすることができています。

 

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