DAWとは?DTMとの違いや揃えるべきものを紹介

執筆者: エルエミュージックセオリーでは、楽典や音楽理論の分野に関わる情報を発信しています。これらは、楽曲の分析や作曲、演奏をする上で必要な知識で、より深く音楽を理解し解釈することができます。音楽学校をでたライターにより執筆を行い、適宜情報を修正しながら運営してまいります。

作曲について調べると何かとDAWやDTMという言葉を目にします。
これらが作曲に必要なものであることは分かっていても、その意味を正しく認識できていない方は少なくありません。

この記事では、「DAWとは何なのか」「似た言葉のDTMと何が違うのか」「またDAWのために揃えるべきもの」を紹介いたします。

DAWとは

DAW(Digital Audio Workstation)は、デジタルオーディオワークステーションの略で、音楽制作や編集、録音、ミキシングなどができるソフトウェアまたはハードウェアのことです。

CUBASEPRO TOOLSといったソフトがまさにDAWであり、DAWソフトと呼ばれたりします。

cubaseの編集画面
steinberg社cubaseの編集画面

引用:steinberg cubase

ハードウェアのDAWといえば、例えばAkaiのMPCなどが上げられます。

AkaiのMPC
AKAI professional M.I.株式会社のMPC

引用:Amazon.co.jp

DAWソフトの方が拡張性や自由度が高いため、現代の楽曲制作における主流の方法となっています。

DAWとDTMとの違い

DTM(Desktop Music)は、デスクトップミュージックの略で、コンピュータを使って音楽制作や編集を行うことを指します。

DAWは、DTMを行う上でのツールの一つなのです。

DAW・DTMを始めるために揃えるべきもの

これからDAW・DTMを始めるためには、どんなものを揃えなければいけないのでしょうか?
作曲家やボカロPのSNSなどを見ると、高そうな機材ばかりで身構えてしまう方は多いでしょう。

そこでこの章では、予算に応じて購入するものの優先順位がつけられるよう、『最低限必要なもの』『次に揃えるべきもの』『可能であれば揃えたいもの』に分けて紹介いたします。

  • 最低限必要なもの
  • 次に揃えるべきもの
  • 可能であれば揃えたいもの

最低限必要なもの

DAWを始めるために最低限必要なものはパソコンです。
デスクトップパソコンでもノートパソコンでも、パソコンさえあればDTMは開始できます。
10万円ほどのPCであれば大抵問題なく動作します。

DAWソフト機能により値段が異なり、安くて1万円、高くて10万円程度かかります。
ただ、無料のソフトもあるため、パソコンさえあればすぐにDAWを始めることができます。

【無料ソフトの一例】

  • GarageBand(MAC)
  • Cakewalk by BandLab(WINDOWS)
  • Studio One Prime(MAC/WINDOWS)

無料のDAWソフトは、有料のものに比べて機能の制限があります。
追求できる楽曲のクオリティも劣りますし、おのずと無料ソフトでは物足りないと感じる様にもなるでしょう。

それでも曲を作ることは十分できますし、DAWソフトに慣れることもできます。

ただ、次に紹介するオーディオインターフェースがないと楽器の録音ができない点には注意しましょう。

えるるん
ちなみに、GarageBandはiphoneでも無料で使えるね!
IKmultimediaが発売している『iRig』を買えば、楽器を繋げて録音することもできるよ!
おすすめのDAWソフトや選び方については『DAWソフトとは?買って後悔しない人気のおすすめソフトTOP10を紹介』をご覧ください。

次に揃えるべきもの

パソコンの次に揃えるべきものを優先度順に紹介します。

  • モニターヘッドフォン(予算がなければ当面は普通のイヤホンでも可)
  • オーディオインターフェース
  • MIDIキーボード(MIDI機器)
  • 有料DAWソフト

モニターヘッドフォン

DAWで作った音はパソコンのスピーカーでも聞けますが、周囲に気を遣う必要がありますし、『聴く環境』としてもいいものではありません。
音は聞こえにくいほど低い音から非常に高い音まで同時なっていますが、パソコンのスピーカーでは聴きにくい上にクセがあるため、素直な音を聴けません。

モニターヘッドフォンを利用すれば、素直な音を聞くことができ、より細かく音楽を作りこむことができます。
聴こえにくい状態は、ストレスですし、効率も悪くなります。
できるだけ早くモニターヘッドフォンを用意しましょう。

ただ、DAWを始めたばかりでは、曲を作ることに注力する方が多いでしょう。
この段階では音を深くまで聴き込み調整する必要がないため、普段使っているイヤフォンで聞いても問題ありません。

オーディオインターフェース

音にはアナログとデジタルのものがあります。例えば、アコギをポロんと弾いた時の音はアナログですが、パソコン上で音を扱うにはデジタルな音にしなければいけません。

オーディオインターフェスは、アナログの音をデジタルに変えてパソコンに送ることができる機器です。
また、その逆のデジタルの音をアナログに変えてスピーカーやヘッドフォンに送ることもできます。

えるるん
パソコンと音で会話する際の翻訳さんみたいな機器だね!
オーディオインターフェースは楽器の録音や、後述するMIDIキーボードなどのMIDI機器との接続に必要です。
これがない状態では、マウスで一音一音クリックして曲を作るしかありません。
また、作曲をしている人のSNSやYOUTUBEで見る様な、スピーカーを接続する際もオーディオインターフェースが必要です。
ちなみに、オーディオインターフェースが用意できたら、モニターヘッドフォンはオーディオインターフェースに接続します。

MIDキーボード

MIDIキーボードは、ピアノの様なMIDI機器です。
MIDIとは、デジタルな音の情報のことで、DAWソフトに送ることで様々な編集ができます。

MIDIキーボードは、鍵盤を弾くだけでMIDIデータをパソコンに送ることができる機器です。
MIDIキーボードがない状態では、マウスのクリックでMIDIを打ち込むほかないため、非常に作曲が効率化します。

また、キーボードでの打ち込みの方が演奏のリアリティも出しやすいため、DAMには必須のアイテムです。

有料DAWソフト

有料のDAWソフトの方が、高品位なサウンドを出力できることが多く、また扱えるプラグインエフェクトやサンプルライブラリ、MIDI機能が充実しています。

「DAWで作った楽曲を公開したい」様な場合は、有料DAWソフトが必須になってくるでしょう。

以下は、有名な有料DAWソフトです。

【有名な有料DAWソフト】

  • Ableton Live 11 Suite – 約99,000円
  • Avid Pro Tools Ultimate – 約294,000円
  • Steinberg Cubase Pro 12 – 約70,000円
  • Apple Logic Pro X – 約25,000円 (Mac専用)
  • PreSonus Studio One 5 Professional – 約55,000円
  • Propellerhead Reason 12 – 約48,000円

※2023年3月現在の目安価格です。為替レートや販売元によって異なる場合があります。正確な価格については、公式サイトや販売元のサイトで確認することをおすすめします。

この様な使っている人が多いDAWソフトの方が、ネット上での情報が多いので、使い方で困ることもその分少なくなるでしょう。

可能であれば揃えたいもの

次に余裕がある段階で揃えていきたいものを紹介します。

  • モニタースピーカー
  • 楽器やマイク
  • PCモニター、PC周辺機器
  • 作業のしやすいデスクやチェア

モニタースピーカー

モニターヘッドフォンでも十分に曲作りはできますが、長時間の使用は耳に負担を与えます。
そのため、DTMではモニタースピーカのある環境が理想になります。

ただ、モニタースピーカーの導入は、本体の価格以外に、防音対策やリスニング環境改善のための諸費を必要とします。

賃貸でも音量を絞れば使えますが、低音は壁や床、窓から近くの部屋へ伝わ裏やすいので、吸音材やスピーカースタンド、制振材などが必要になるかと思います。
また、高さを調整するためのスタンドなども場合によって必要です。

楽器やマイク

楽曲制作には生の音も必要です。
打ち込めるMIDIデータでは生楽器の再現が難しく、生音により近づけるためには高度な打ち込む技術が必要です。

簡単なフレーズやバッキングであれば、打ち込むよりも弾いた方が早い場合もありますし、作業効率化の面でも楽器は便利です。

中でもギターは非常に打ち込みが難しいので、ギターの購入はおすすめです。
(すでに弾ける、あるいは弾ける様になる必要はあります。)

また、歌を入れるためにマイクもあるといいでしょう。
動画配信などでも活用できるので、余裕があるタイミングで購入しましょう。

PCモニター、周辺機器

作曲の効率化を考える際は、PCモニターの導入がおすすめです。
DAWソフトは作業ごとに多数のウィンドウが表示されるので、画面を拡張できると非常に楽になります。

また、マウスやキーボードといったPC周辺機器も新調していきましょう。
最近の作曲家やボカロPの多くが、トラックボールなどの便利なマウスを使用しているので参考にしてください。

作業のしやすいデスクやチェア

DTMを始めると、パソコンだけでなくオーディオンインターフェースやモニターなどがデスクを圧迫させ始めます。
クリエイティビティーが阻害されない快適な作業空間を作れる様に、デスクやチェアを新調するのもいいでしょう。

チェアは長時間の使用でも疲れにくい、ゲーミングチェアがおすすめです。

ただし、他に比べると優先順位は低めです。

どんな環境でもパソコンさえあればDAWはできるからです。
「効率化や快適化をしていきたい」と、ある意味での考える余裕が生まれた段階で検討してみましょう。

DAWスタート後もさまざまな出費が

前章ではDAWを始めるために必要なものを紹介しました。
ただ、DAWでお金がかかるのはスタート時だけではありません。
DAWを始めてからもずっと、出費はつきものです。

多くの人は、出費のほとんどがプラグインによるものでしょう。

DAWソフトは、いわば音楽を作る作業空間の様なもので、そこにプラグインと呼ばれる拡張音源や機能を追加して音楽を作り上げていきます。

プラグインには、ピアノやドラムといった楽器の音源や、リバーブやコンプレッサーといったエフェクトなど様々なものがあります。
メーカーによって音や特性、機能性が異なるため、いくつもいくつも購入し、それぞれを使いわけます。

もちろん可能な範囲で購入していけばいいですし、セールを狙えば格安、あるいは無料でプラグインを手にいれることもできます。

DAWを始めるとどうしても物欲が芽生えやすいのですが、「最高の曲を作る」という目的からそれていかないように注意しましょう。