ファンタム電源(Phantom Power)とは?NGな使い方に注意しよう

執筆者: エルエミュージックセオリーでは、楽典や音楽理論の分野に関わる情報を発信しています。これらは、楽曲の分析や作曲、演奏をする上で必要な知識で、より深く音楽を理解し解釈することができます。音楽学校をでたライターにより執筆を行い、適宜情報を修正しながら運営してまいります。

レコーディングやDTMに携わる方は特に、ファンタム電源を理解しておく必要があります。
使い方を誤ると、機材を故障させてしまう場合もあるためです。
この記事で、ファンタム電源がどういったもので、どのように注意して扱うべきかを把握しておきましょう。

ファンタム電源とは

ファンタム電源(Phantom Power)は、主にコンデンサーマイクなどのオーディオ機器に電力を供給するための電源です。

ミキサーやプリアンプ、オーディオインターフェースなどにも、よく搭載されています。
一般的に48Vの電圧を使用するため『48V』『+48V』の様なボタンが付けられてることが多く、ファンタム電源のオンオフを切り替えられます。

ボタンがない場合は、対応する端子にオーディオ機器を接続すると自動でオンになります。

PreSonus社audioboxの画像
オーディオインターフェースに搭載されたファンタム電源
引用:Amazon.co.jp

ファントム電源から出る電流は微弱で、XLRケーブルを通じてマイク等に給電しています。
まるで電源があるように見えないことから、ファントムあるいはファンタム(fontom:お化け,まぼろし)電源と呼ばれています。

ファンタムに接続するケーブル

ファンタム電源を使用する場合、通常はXLRケーブルを使用してDC電力を供給します。

audiotechnica製のXLRcable
3つの凹凸が特徴的なXLRケーブル
引用:Amazon.co.jp

XLRケーブルは、オーディオ機器間で信号を伝送するためによく使われるバランス接続の一種であり、3本の信号線(ホット、コールド、グランド)を持ったケーブルです。

ただし、バランス接続のXLRケーブルでなければいけません。
稀にアンバランス接続のXLRケーブルがあるため注意しましょう。

ファンタム電源の種類

ファントム電源には以下の様な種類があり、使用用途が異なります。

  • 48Vファントム電源:最も一般的なファントム電源で、オーディオ機器に広く対応
  • 24Vファントム電源:マイクなどの一部の音声入力機器に対応
  • 12Vファントム電源:携帯型オーディオ機器や小型の音声入力機器などに使用
  • 9Vファントム電源:特定の音声入力機器や楽器のために設計れたもの

ファントム電源を使用する場合は、機器の仕様に基づいて正しい電圧を使用することが重要です。

ファンタム電源を利用する上での3つの注意点

ファンタム電源は取り扱いに注意が必要です。
場合によっては機器を壊しかねないので、以下3つの注意点を確認しておきましょう。

電源を入れる際はボリュームオフにする

ファントム電源をオンにする前に、オーディオ機器のボリュームゼロにしておきましょう。
ファントム電源がオンになるときに発生するポップノイズを防止するためです。

この時発生するポップノイズは、スピーカーや、マイクのダイアフラムに負荷をかけ故障の原因となってしまうため必ず回避しましょう。

ファントム電源をオン・オフにする際は、ボリュームを必ずゼロ(最小)まで落とし、徐々にあげていく様にしましょう。

ダイナミックマイク等以外は接続しない

ファントム電源に接続して良いものは、コンデンサーマイク、ダイナミックマイク、DIボックス、一部のアクティブDI、一部のアクティブスピーカー、一部のインターフェイスなどです。

一方、ファントム電源に接続してはいけないものには、一般的にはダイレクトボックス(パッシブDI)、リボンマイク、古いコンデンサーマイク、一部のアクティブDI、一部のパワーアンプなどがあります。

こうした機器は、ファントム電源から高い電圧が入力段に入ることで故障する場合があります。

ファントム電源を接続する前に、機器の仕様書を確認しておきましょう。

アンバランスケーブルを使わない

ファントム電源を使用する場合、バランスケーブルが推奨されます。
バランスケーブルはノイズの影響を受けにくく、信号の伝送が安定するためです。

反対に、アンバランスケーブルはノイズの影響を受けやすく、信号の伝送が不安定になることがあります。

ただ、アンバランスケーブルを使用してファントム電源を供給することができる場合もあります。
例えば、DIボックスなどの一部の機器に対してです。

ただアンバランスケーブルの使用は、ノイズの発生故障の原因にもなるため、基本的にバランスケーブルを使用しましょう。

まとめ

ファンタム電源は、コンデンサーマイクなどの電力を必要とする機器に給電するための電源です。
ミキサーやオーディオインターフェースに搭載されていることが多く、知らず知らずに見かけている、使用している方も多いでしょう。

ファンタム電源にも種類がありますが、48Vのものが使われることが多く、ミキサーやオーディオインターフェース側には『48Vの表記』や『48Vのボタン』があります。

レコーディングなどでは頻繁に使用されますが、取り扱いには注意が必要です。
電源を入れる際は機器のボリュームを最低まで下げ、バランスケーブルで接続しましょう。

また、ファンタム電源に対応した機材だけを使うよう、使用する機材の仕様を把握しておきましょう。