楽器を弾いているとなおさら、『倍音』という言葉を耳にするのではないでしょうか。
「倍音がきもちい」「倍音が豊かだな」といった具合に。
何となく喋っている方も多く、倍音の意味を正確に理解している方も以外にも少ないかと思います。
今回は、倍音について、基礎から順を追って優しく解説します。
倍音とは
倍音とは、基音と同時に鳴る音のことです。
基音の周波数の正数倍の周波数の音のため、倍音と言われています。
ピアノのラ(A4)の音を鳴らせば、ラの音が聞こえますが、これが基音です。
一見、基音のラ(A4)の音しか聞こえないように感じるのですが、実はオクターブ上のラ(A5)や、ミ(E6)の音がうっすら同時になっているのです。
こうした基音と同時になる、基音より高い音が倍音です。
以下より、詳しい倍音の解説をしていきます。
以下の様に段階を分けて説明していきますので、すでに知っていることは読み飛ばしてご覧ください。
- そもそも音は空気の振動。周波数で決まる
- 倍音の前に、サイン波を解説
- 『基音の周波数』の『正数倍の周波数』の音が倍音
そもそも音は周波数
手を叩くと、パンと音がなります。
これは、手を叩いた衝撃で空気が振動し、その振動が耳に伝わり、細くを振動させることで音として認識できます。
要は、音は空気の振動なのです。
1秒間の振動数を周波数といい、Hzという単位で表しますが、音もHz(周波数)で表すことができます。
例えば、ピアノのラ(A4)の音は440hzの音となっています。
倍音の前に、サイン波を解説
先ほど、「ラ(A4)の音は440hz」と説明しましたが、ピアノの様な楽器はもちろん、自然界の音は、次に説明する倍音を含んでいます。
440hzといっても基音が440hzなだけで、もっといろんな周波数の音が同時になっています。
そのさまざまな周波数の音を、一つ一つに分解したものがサイン派(正弦波)です。
サイン波は、倍音を一切含まないため、純音とも言われます。
聴力検査でよくきく機械的な音といえば、イメージできる方も多いのではないでしょうか。
サイン波は、ピアノや人の声の様な深みはない、無機質な音に聞こえるでしょう。
『基音の周波数』の『正数倍の周波数』の音が倍音
ここまで理解できると、「基音の倍の周波数の音が倍音」という解説もある程度理解できるかと思います。
基音をラ(A4)として考えてみましょう。
周波数が440hzのサイン波と考え、単純に2倍,3倍の周波数を考えてみます。
種類 | 音名 | 周波数 |
---|---|---|
基音 | ラ(A4) | 440hz |
2倍音 | ラ(A5) | 880hz |
3倍音 | ミ(E6) | 1320hz |
4倍音 | ラ(A7) | 1760hz |
5倍音 | ド(C8) | 2200hz |
無意識に聞いていると、ラの音しか聞こえませんが、実は高いラや、ミ、ドなど、たくさんの音が同時になっているのです。
ほとんどの場合で、基音が最も大きい音で、高い音になるにつれて音量は小さくなり、ますます知覚できなくなっていきます。
上の例では5倍音まで書き出しましたが、実際にはもっと多く、無限の倍音が鳴っていると考えられます。
倍音と上音
倍音は、基音の正数倍の周波数であることが特徴です。
しかし実のところ、鳴っているのは基音と倍音だけではありません。
そのほかにも、基音より高い音がたくさん鳴っているのです。
この様な基音と同時になる、基音より高い音をまとめて上音と呼びます。
倍音は、上音の一部といえます。
ちなみに、ギターやピアノの様な音階を奏でる楽器は、基音と倍音がほとんどとなります。
対して、打楽器などのあまり音階を感じない楽器は、倍音以外の上音を多く含んでいます。