『調』とは、その音楽がどの音を中心(主音)とした、どんな音階で作られているかを示すものです。
音階が、長音階であれば『長調』。
音階が、短音階であれば『短調』となります。
今回は、実際の楽曲例を交えつつ、長調・短調について詳しく解説していきます。
長調と短調の違い
長調と短調の違いは、使われている音階の違いです。
例えば、中心となる音(主音)をハ(C・ド)とした長音階で作られている楽曲は『ハ長調』となります。
ハの短音階で作られている楽曲は、ハ短調となります。
*「使わている音階」といっても、必ずしも決められた音階の音しか使われないわけではありません。その音階が軸となり楽曲が作られているイメージです。
長音階で作られる『長調』
主音からなる長音階で作られていれば長調です。
長音階は、主音から『全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音』の順で並べた7音の音階です。
『3音目と4音目』『7音目と8音目』の音程だけ半音になります。
短音階で作られる短調
主音からなる短音階で作られている楽曲などの調は、短調です。
短音階は、主音から『全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音』の順で並べた7音の音階です。
『2音目と2音目』『4音目と6音目』の音程だけ半音になります。
長調と短調どちらか見分ける方法と楽曲例
楽譜に調号がない場合、その楽曲の調は『ハ長調』と『イ短調』のどちらかになります。
要は、調号を見ただけでは長調か短調かを判断することができません。
長調か短調かを見分けたい際は、以下2点を基準に行いましょう。
- 曲全体が明るければ長調、暗ければ短調
- 曲の最初と最初が、主音あるいは主和音である可能性が高い
なんとも感覚的な話ですが、長調の楽曲は全体的に明るく、短調の楽曲は暗くなります。
最近のJPOPは明暗の区別がつきにくい曲も多いですが、クラシックはわりと明暗の区別がしやすいかと思います。
雰囲気で判断できない場合は、曲の最初と最初の音に注目しましょう。
曲の最初と最後は、主音、主和音である可能性が高いためです。
長調の楽曲例
モーツァルト/きらきら星変奏曲 ハ長調 K. 265
この楽曲はハ長調、あるいはイ短調ですが、出だしから明るく落ち着いた雰囲気があるため、長調の楽曲に感じます。
最初のメロディーもCであるため、ハ長調と考えて間違いないでしょう。
ショパン/夜想曲第2番 変ホ長調 作品9-2
この楽曲は変ホ長調、あるいはハ短調です。
穏やかな曲調から、長調であることは確かでしょう。
最初のメロディーは変ホ長調の主音ではありませんが、低音部は変ホ長調の主和音を奏でています。
短調の楽曲例
バッハ/トッカータとフーガ ニ短調 BWV 565
この楽曲はヘ長調、あるいはニ短調です。
悲壮感溢れる最初のフレーズで、短調であると想像がつきます。
最初の音こそニ短調の主音ではありませんが、フレーズは主音Dに着地するようにできています。
また最後はニ短調の主和音で終わります。
ベートーヴェン/交響曲 第5番 ハ短調「運命」作品67
この楽曲は変ホ長調、あるいはハ短調になります。
強い衝撃を受けたかのような冒頭のフレーズは、ネガティブな印象があり、短調らしいと感じます。
最後の主旋律はハ短調の主音であるCで終わっていますから、ハ短調と考えられます。
まとめ
「調」は楽曲で軸として使われる音階によって、長調または短調となります。
長音階が使われる長調は、「明るい」「快活」「穏やか」のような曲調に感じられます。
短音階が使われる短調は、「暗い」「悲壮的」「重々しい」のような曲調に感じられます。
長調と短調どちらであるかは、こうした曲の雰囲気から察することができますが、よくわからない場合は楽曲の最初と最後の音に注目しましょう。
最初と最後は、主音や主和音が使われることが多いため、推測に役立ちます。