飽きさせない音楽を作るために、転調はとても効果的です。
さまざまな転調方法がありますが、今回はセカンダリードミナントを使った転調方法について紹介いたします。
セカンダリードミナントを用いた転調方法
セカンダリードミナントは、ダイアトニックコード上のあるコードを一時的なトニック(I)と見立てた際のドミナント(V)コードのことを言います。
例えば、Cメジャーキーでは本来のドミナント(プライマリードミナント)がG7のみです。
セカンダリードミナントの考え方では、『A7』『B7』『C7』『D7』『E7』が一時的なドミナントとなります。
セカンダリードミナントの解決先(一時的なトニック)を、そのまま転調後のキーとすれば簡単に転調ができます。
例えば、Amに対するセカンダリードミナント『E7』を、Aメジャーキーの本来のドミナントとして考えるような場合です。
リレイテッドIImで転調を工夫する
単にセカンダリードミナントで転調をするだけでは、強引な転調に感じるケースもあります。
例えば、Cメジャーキーの楽曲で、セカンダリードミナント『E7』が出てきても、すぐに「転調」させるという意図は伝わらず、強引に転調したように感じやすいのです。
この章では、セカンダリードミナントの考え方は残しつつ、滑らかな転調をする工夫を紹介いたします。
リレイテッドIIm(メジャー)
リレイテッドⅡmは、セカンダリードミナントをV7とした時のIImのことです。
リレイテッドIImを取り入れると、転調後のキーに対して『IIm→V7→Ⅰ(ツーファイブワン)』の動きが作れるため、より滑らかで自然な転調となります。
リレイテッドIIm(マイナー)
先ほどのリレイテッドIImと同じ考えですが、IIm7-5を用いて、あえてマイナーツーファイブワンにする方法があります。
本来『IIm7-5』はダイアトニックコードの七番目にしか登場しないため、急に現れて『IIm7-5→V7→Ⅰ(ツーファイブワン)』を形成すると転調する雰囲気を感じさせやすくなります。
上の例では、マイナーキーへ転調していますが、メジャーキーに解決するマイナーツーファイブワンも案外おもしろみがあります。
ぜひいろいろな転調パターン、転調先を試してみてください。
まとめ
セカンダリードミナントを使えば、さまざまな調へと転調を行うことができます。
ただ、セカンダリードミナントだけでは、転調に強引さが出てしまうこともあります。
それまでの文脈を意識したり、リレイテッドIImを使うなどの工夫を加えると、より自然に転調が行えます。
ポピュラーミュージックには、転調方法に間違いも正解もありません。
強引さがでても、それが意図しているものであれば正解ですし、スムーズな転調にもそれはそれで良さがあります。
セカンダリードミナントを使った転調方法を紹介しましたが、これだけに捉われず柔軟に転調を楽しんでいきましょう。