モーダルインターチェンジで短調からコードを借りてくる

執筆者: エルエミュージックセオリーでは、楽典や音楽理論の分野に関わる情報を発信しています。これらは、楽曲の分析や作曲、演奏をする上で必要な知識で、より深く音楽を理解し解釈することができます。音楽学校をでたライターにより執筆を行い、適宜情報を修正しながら運営してまいります。

Cメジャーキー(ハ長調)なのに、Cマイナーキー(ハ短調)のダイアトニックコードが使われているコード進行はよくあります。
例えば以下のようなもの。『E♭』と『A♭』はCマイナーキーのダイアトニックコードです。

譜例1

こうした同主短調(主音が同じ短調)を取り入れたコード進行は、モーダルインターチェンジを知れば取り入れられます。

この記事は、「要は、同主調のコードは自由に持ってこれる」ことを解説するものです。
モーダルインターチェンジについての説明をしますが、ある程度簡単なものになるので、より詳しく知りたい方は『モーダルインターチェンジとは』をご覧ください。

モーダルインターチェンジとは

我々が普段使う長調、短調という『調』という考え方が使われる前はモード(旋法)が使われていました。
モードには7つの種類があり、今でいう長調はその中のイオニアンモードに、短調はエオリアンモードに近しいものです。

  • アイオニアンモード(長調のようなもの)
  • ドリアンモード
  • フリジアンモード
  • リディアンモード
  • ミクソリディアンモード
  • エオリアンモード(短調のようなもの)
  • ロクリアンモード

モーダルインターチェンジとは、モードの交換を意味します。
まず、これらのモードを単純にスケールの名称と考えると、それぞれに異なるダイアトニックコードがあることがわかります。

モードの交換をすれば、例えば、アイオニアンモードで作られている楽曲(長調の楽曲)の中で、一時的にドリアンモードのコードや、エオリアンモードのコードを取り入れることができます。

モーダルインターチェンジで短調を取り入れる方法

長調をアイオニアンと置き換えると、短調はエオリアンモードです。

モーダルインターチェンジを使えば、長調の中で一部だけエオリアンモード(短調)のコードを取り入れることができます。

Cアイオニアンのダイアトニックコード

C・Dm・Em・F・G・Am・Bm-5 

Cエオリアンのダイアトニックコード

Cm・Dm-5・E♭・Fm・Gm・A♭・B♭ 

これにより、冒頭でも紹介した以下のコード進行を実現できます。

譜例1

まとめ

モーダルインターチェンジという概念を駆使すれば、同主短調から自由にコードを借りれます。
同様に、短調の曲中で同主長調のコードを借りても問題ありません。

ここまでの内容をQ&A形式でおさらいしましょう。

モーダルインターチェンジとは?
同じ主音をもつモード(パラレルモード)を交換することで、メロディーやコードにバリエーションを持たせる手法です。詳しくは『モーダルインターチェンジとは』をご覧ください。
長調や短調はモードでいう何に当たる?
厳密には『キー(調)』と『モード(旋法)』は異なる意味合いを持ちますが、アイオニアンモードが長調、エオリアンモードが短調に相当します。詳しくは『モーダルインターチェンジとは』をご覧ください。
Cメジャーキー(ハ長調)の曲で短調のコードを使える?
Cメジャーキーをアイオニアンモードととらえれば、エオリアンモードと自由に取り換えることができます。そのため、エオリアンモード由来のダイアトニックコード(ハ短調のコード)を利用できます。詳しくは『モーダルインターチェンジで短調を取り入れる方法』をご覧ください。
{ "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [ { "@type": "Question", "name":"モーダルインターチェンジとは?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"同じ主音をもつモード(パラレルモード)を交換することで、メロディーやコードにバリエーションを持たせる手法です。詳しくは『モーダルインターチェンジとは』をご覧ください。" } }, { "@type": "Question", "name":"長調や短調はモードでいう何に当たる?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"厳密には『キー(調)』と『モード(旋法)』は異なる意味合いを持ちますが、アイオニアンモードが長調、エオリアンモードが短調に相当します。詳しくは『モーダルインターチェンジとは』をご覧ください。" } }, { "@type": "Question", "name":"Cメジャーキー(ハ長調)の曲で短調のコードを使える?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"Cメジャーキーをアイオニアンモードととらえれば、エオリアンモードと自由に取り換えることができます。そのため、エオリアンモード由来のダイアトニックコード(ハ短調のコード)を利用できます。詳しくは『モーダルインターチェンジで短調を取り入れる方法』をご覧ください。" } } ] }