スケール(音階)の中でも、真っ先に覚えるべきはメジャースケール(長音階)です。
今後作曲や演奏をする上で、非常に重要で、基本となる知識です。
この記事では、メジャースケールとはどんなもので、どのように使われるのかを解説します。
また、合わせて覚えておきたいマイナースケールについても簡単に解説します。
メジャースケールとは
メジャースケールとは、1オクターブを7つの音に分けた音階で、主音(最初の音)から『全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音』の音程の音を使ったものです。
あとで説明するマイナースケールに比べると、明るい響きのする音階です。
例えば、Cを主音とする場合(Cメジャースケール)で考えると、ちょうどピアノの白鍵に当たる『ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド』で構成される音階になります。
ドから次の高いドまで。鍵盤をみてわかる通り、音楽で使う音は12個あります。
音階は、12個の音のうち、ある規則性で並べた7つほどの音を指します。(7つではない場合もあります。)
この規則性には様々なものがあって、メジャースケールは最も代表的なものです。
メジャースケールは12種類ある
先ほどはCを主音とした場合のメジャースケールを紹介しました。
C以外にも、DやE♭、Fなどなど…12通りの音をそれぞれ主音として、違ったメジャースケールを考えることができます。
主音 | i | ii | iii | iv | v | vi | vii |
---|---|---|---|---|---|---|---|
C | C | D | E | F | G | A | B |
Db | Db | Eb | F | Gb | Ab | Bb | C |
D | D | E | F# | G | A | B | C# |
Eb | Eb | F | G | Ab | Bb | C | D |
E | E | F# | G# | A | B | C# | D# |
F | F | G | A | Bb | C | D | E |
Gb | Gb | Ab | Bb | B | Db | Eb | F |
G | G | A | B | C | D | E | F# |
Ab | Ab | Bb | C | Db | Eb | F | G |
A | A | B | C# | D | E | F# | G# |
Bb | Bb | C | D | Eb | F | G | A |
B | B | C# | D# | E | F# | G# | A# |
『メジャースケール一覧表』では、12のメジャースケールを鍵盤図と音源付きで一覧紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
絶対音感がある人は、Dメジャースケールを聴けば『DEF#GABC#D』の音が鳴っているとわかります。
一方で絶対音感がない人は、どれも「どれみふぁそらしど」と聞こえてしまいます。
これは、相対音感の人は「ある音からある音の距離がどのくらい離れいているか」という相対的な感覚で音を聴くためです。
Dメジャースケールがなっても、Aメジャースケールがなっても、「主音の次の音は全音となり、その次も全音となり、その次は半音…」と距離が決まり切っていますから、いずれも同じように聞こえます。
詳しくは、『絶対音感と相対音感の違い』をご覧ください。
メジャースケールは曲に重要な『調性』を作る
調性とは、楽曲などで「ある音が中心にある」と感じられる状態を表します。
調性があることで、「落ち着き」や「緊張」、「明るさ」や「暗さ」などが感じられ、感情やストーリーが生まれます。
そして、Cにたどりついた時に強い落ち着きを感じる。
調性は無意識的に、「このあたりが落ち着く(中心の音がある)」と感じられる状態なんだ。
中心の音を感じさせるために、メジャースケールが重要です。
メジャースケールを弾くと、主音が中心にあるように感じることができます。
これはまさに、調性が生まれている状態です。
反対に、無作為に音を並べると、調性を感じられません。
Cメジャースケールだけを弾いた演奏
メジャースケールを意識しない演奏
ある音が中心にあり、どんな音階を使っているかを表す言葉に『調』というものがあります。
メジャースケールを使っていれば長調(メジャーキー)。
マイナースケールを使っていれば短調(マイナースケール)となります。
音楽をする上で『調(key,キー)』の概念の理解は必須と言えるでしょう。 『調』が存在しない無調の音楽もありますが、そういった音楽を作る方々も、もれなく調を理解しています。 今回は、『調』についてわかりやすく解説いたします。 […]
メジャースケールを使いこなすための『全全半全全全半』
Cメジャースケールは、#や♭がつかず、白鍵だけしか使いませんから簡単に覚えられます。
ただ、他のメジャースケールはどうでしょうか。表を見ないと答えられない方も多いはずです。
一見、Cメジャースケール以外はとても扱いにくそうに感じますが、法則だけ丸暗記してしまえばすぐに音名を割り出すことができます。
その法則は1章でも解説した通り、主音から『全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音』で音が並んでいる、ということだけです。
主音がDでもEでも、A♭でも変わりません。
この法則を『全全半全全全半(ぜんぜんはんぜんぜんぜんはん)』と口に出しながら覚えてしまえばいいのです。
全音は鍵盤でいう2つ隣の音、半音は1つ隣の音です。
これを当てはめて、慣れていきましょう。
マイナースケールとの違い
メジャースケールとマイナースケールの違いを感覚的にいうのであれば、メジャースケールは明るく、マイナースケールは暗い雰囲気がします。
マイナースケールも、メジャースケールと同様に、1オクターブを7音で分けた音階ですが、音程の規則性に違いがあります。
スケール | それぞれの音程 |
---|---|
メジャースケール | 全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音 |
マイナースケール | 全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音 |
例えば、Cメジャースケールの6音目『A』から同じ構成音で、『A・B・C・D・E・F・G』とすると、Aマイナースケールになるんだ。
こういった、CメジャーとAマイナーのような同じ音ででいている関係を、レラティブな関係と言ったりするよ!
マイナースケールは、2音目と3音目の間、そして5音目と6音目の間に半音が現れます。
3つ目の音(3度の音)が半音下がることで、決定的な暗さが生まれています。
コード(和音)でも同じですが、3度の音は『明暗』を分ける重要な音になります。
ここで解説したマイナースケールは、厳密には『ナチュラルマイナースケール』と呼ばれるもので、他にも2つの種類が基本としてあります。
マイナースケールについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
「メジャースケールは理解できた」「マイナースケールはなんだかよく分からない」マイナースケールは、メジャースケールと勝手がちがうため、理解に少し時間を要するかもしれません。 今回は、マイナースケールがどういったもので、メジャースケールと[…]
ペンタトニックスケールとの違い
メジャースケールや、3章で解説したマイナースケールは7つの音で構成される7音音階です。
対して、ペンタトニックスケールは5つの音で構成される5音音階です。
扱いやすい5つの音のみのため、伴奏を邪魔しにくく、ギターソロや即興演奏で頻繁に使われます。
ペンタトニックスケールは様々考えられますが、基本としては以下の2つです。
- メジャーペンタトニックスケール:メジャースケールの4音目と7音目を抜いた5音
- マイナーペンタトニックスケール:マイナースケールの2音目と6音目を抜いた5音
まとめ
メジャースケールは、音楽理論の基礎となる重要な要素です。
12の異なる音からできるこのスケールは、曲の調を決定し、明るく幸せな感情を表現するのによく使用されます。
「全全半全全全半」のパターンを覚えることで、あなたもメジャースケールを理解し、使いこなすことができるでしょう。