音楽には、12の長調(メジャーキー)と12の短調(マイナーキー)の、合計24調があります。
調が24もあると、例えば転調するときの選択肢が多すぎて、作曲するのが大変難しそうですよね。
しかし、調にはそれぞれ関係が近しい調があります。こうした調の関係性を近親調といい、近親調への転調は比較的スムーズです。
近親調の中でも、もっとも近しい関係にあるのが今回紹介する平行調です。
作曲はもちろん、演奏でも重要となる知識ですので、しっかり理解していきましょう。
平行調とは?
平行調とは、同じ音階で構成される長調と短調の関係性です。音階が同じですので、楽譜上では調号も同じになります。
例えば、ハ長調(Cメジャーキー)とイ短調(Aマイナーキー)は、並びこそ違えど『C,D,E,F,G,A,B』の音階で構成されるため、平行調の関係と言えます。
平行調の見分け方
平行調の見分け方
- 同じダイアトニックスケール
- 同じ調号
- 長調の場合:短三度下の短調
- 短調の場合:短三度上の長調
また、五度圏表を用いることで簡単に平行調を見つけることができます。
外円が平行長調(ある短調からみた平行調)、内円が平行短調(ある長調からみた平行調)となります。
例えば、Cの平行調はAm、Gの平行調はEmと簡単に判別できます。
平行調への転調
平行調は、同じスケール、調号ですのでダイアトニックコードも共通です。
であれば、『ハ長調=イ短調』と言えるので、わざわざ区別する必要がないようにも思えます。
ここでは、平行調の概念を使った転調手法から平行調の重要性を確認していきましょう。
AメロからBメロ間で平行調に転調する例
平行長調と並行短調では主音(トニック)が異なります。
ハ長調はCが主音、イ短調はAが主音です。この主音を意識して演奏作曲することで、長調は明るく、短調は暗く感じさせることができます。
Jpopでも良くみられる例として、Aメロは長調、Bメロで並行短調に転調するものがあります。
Aメロで明るく、サビ前のBメロでは少し暗い部分を出しつつ、サビでまた明るく。感情の浮き沈みが生まれ、より充実感のあるストーリーを作ることができます。
並行調の同主調へ転調する例
ハ長調とハ短調のように、主音同じ別の調を同主調と言います。同主調もまた近親調です。
よく、ハ長調からイ長調へ転調する曲がありますが、これは平行調の同主調へ転調しています。
「ハ長調から並行短調のイ短調へ」「イ短調から同主調のイ長調へ」という流れで転調しています。
同主調の平行調へ転調する例
前項の転調例に似ていますが、考え方は逆になります。
例えば、ハ長調(Cメジャーキー)から変ホ長調(E♭メジャーキー)に転調する例では、
「ハ長調から同主調のハ短調へ」→「ハ短調から平行調長の変ホ長調へ」と考え順になります。
『同主調の平行調』の考え方では、短三度下の短調と短三度上の長調へ転調できます。
要は、どちらかの考え方を用いれば、短三度間は自由に転調できることになります。
まとめ
これまでの内容をQ&A形式でまとめていきます。