『シ』の音の次は『ド』。であれば『シ#』なんてあるはずないのでは?書き間違え?
楽譜に慣れていないと、こうした音の書かれ方で困惑しますよね。
結論、シ#という書き方は正しいが、弾く音はドと変わりありません。
この記事では、『シ#』と書かれている場合に弾く音と、『シ#』と表記する理由について解説していきます。
『シ』の音を聞いてみよう
まずは、『シ』の鍵盤を鳴らした時の、純粋な『シ』の音を聞いてみましょう。
上の音源は、低い『シ』から高い『シ』まで演奏しています。
いずれも『シ』です。
低いBから、B1,B2,B3…と番号がついています。
上の音源はB3,B4,B5を鳴らしています。
『シ』は問題なさそうですね。
次に、楽譜でたまに見かける『シ#』について確認していきましょう。
『シ#』はどこを弾くのが正解?
鍵盤を見てわかる通り、『シ』の後に黒鍵はないため次は『ド』の音になります。
そのため、『シ#』と表記されていたらドの音を演奏して問題ありません。
同様に、『ミ』には#がありませんが、『ミ#』と表記する場合があります。
この場合『ファ』を弾いて問題ありません。
また、『ファ♭』と書かれていたら『ミ』、『ド♭』と書かれていたら『シ』を演奏することになります。
このように、違う音名で書かれているけど同じ音を異名同音と言います。
なぜシの音にをシャープ(#)つけるの?
『シ#』ように、あえてドと書かない理由を見ていきましょう。
音階は順番である必要があるから
曲はキーや音階といった軸で作られています。
例えば、キーC(ハ長調)の楽曲の場合、Cメジャースケール(長音階)という音階を軸に作られています。
Cメジャースケールを見てみましょう。
『ドレミファソラシ』のように、異なる音名が階段状に並んでいます。
基本として、隣の音は別の音名で表すことがわかります。(例:ドの次はレ)
キーCは偶然にも黒鍵を使わないため上のようにシンプルですが、黒鍵が必要なキーだと#や♭が付きます。
半音上のキーC#(ド#から始まる)の場合で見てましょう。
Cメジャースケールの半音上のスケールになるので、すべての音に#が付きました。
先ほど同様、異なる音名が階段状に並んでいる必要があるので、『シ』や『ファ』に#が付いています。
#をつけずに書くと『ド#,レ#,ファ,ファ#,ソ#,ラ#,ド,ド#』となります。
音が階段状に連なっているのがわかりにくくなりました。
「ドの左隣の音がシ」であるように、「ド#の左となりの音はシ#」なのです。
楽譜が複雑になる
先ほど例としてキーC#のメジャースケールを紹介しましたが、実際は調号を使われるので、音の隣についている#のような臨時記号は書かれません。
そのため、非常にわかりやすい楽譜となります。
ただ、キーに対応するスケールが階段状に積みあがっていないと、楽譜が非常に読みにくくなります。
※実際、C#を主音とする場合、調号♭5個で表すD♭キーとして扱うことがほとんどです。
まとめ
キー(長)を構成するスケール(音階)のでき方から、シ#やファ#といった書き方がされることがわかりました。
キーC#の主音ド#から見た2番目の音はレの#。3番目の音はミの#と順番になっているのです。
中には、ド♭やファ♭が出てくることもありますが、考え方は変わりません。