ダブルドミナント(ドッペルドミナント)とは?コード進行がぐっと明るくなる

執筆者: エルエミュージックセオリーでは、楽典や音楽理論の分野に関わる情報を発信しています。これらは、楽曲の分析や作曲、演奏をする上で必要な知識で、より深く音楽を理解し解釈することができます。音楽学校をでたライターにより執筆を行い、適宜情報を修正しながら運営してまいります。

ダブルドミナント(ドッペルドミナントとも言う)は、コード進行上でのあるコードの呼び名です。ジャンル問わずよく使われています。

ダブルドミナントという固有の呼び方がありますが、セカンダリードミナントの一種です。
セカンダリードミナントから先に理解したい方はしたの記事をご覧ください。

ダブルドミナントとは

ダブルドミナントとは、あるキーのドミナントコードを一時的なトニックと見立てた際に、そのドミナントに当たるコードです。

例えば、CメジャーキーのドミナントGをトニックと見立てると、完全五度上のDがドミナント(ダブルドミナント)に当たります。

ダブルドミナントの図説

えるるん
ドミナント(プライマリードミナント)に対するドミナント(セカンダリードミナント)がダブルドミナント!

Ⅱmをメジャーに変えたもの

ダブルドミナントは、ダイアトニックコード上のⅡmがメジャートライアド(あるいはセブンス)に変化したものです。

ダブルドミナントの図説2

Ⅱmのローマ数字について

ダイアトニックコードは、主音がルートのコードから順にローマ数字で番号をあてることで、どのキーでも、関係性を理解しやすくなります。例えばCメジャーキーでの一番目のコード(Ⅰ)はC、二番目のコードはDm(Ⅱm)です。これをGメジャーキーで言えば1番目(Ⅰ)がG、2番目(Ⅱm)がAmです。ダブルドミナントはⅡmがメジャーになったもの(Ⅱ)ですので、CメジャーキーであればDコード、GメジャーキーであればAコードと簡単にわかります。

ドミナントへの進行を予感させるコード

通常のドミナント(V)やダブルドミナント(Ⅱ)などの、ドミナントと言われるコードは4度上のコードへコードが進行することを予感させます。
そのため、Vの場合はⅠへⅡの場合はⅤへ進行しやすくなります。
VやIIを、V7やII7のようにセブンスコード(ドミナントセブンスコードという)に変えると四度上へ進行する力が強まります。
必ずしも、四度上に進む必要はなく、別のコードに進むこともよくあります。

マイナーキーのダブルドミナント

マイナーキーのV7に対するセカンダリードミナントもしばしば使われ、同様にダブルドミナントと言えます。

マイナーキーのツーファイブワンで考えていきましょう。

『IIm7-5→V7→Im7』が本来のマイナーツーファイブワンですが、II7にすると『II7→V7→Im7』になります。

Cマイナーキー『IIm7-5→V7→I』

Cマイナーのツーファイブ

Cマイナーキー『II7→V7→I』

マイナーキーのダブルドミナント

 

ダブルドミナントが使われた楽曲例

ダブルドミナントがどのように使われているのか、JPOP有名曲のコード進行から見ていきましょう。

  • HANABI/Mr.children
  • 元気を出して/竹内まりや

HANABI/Mr.children

キーはD♭メジャーで、本来のドミナント(V)はA♭に当たります。

3小節目のE♭7(II7)がダブルドミナントに当たり、A♭へそのまま進行しています。

HANABI楽譜

 

元気を出して/竹内まりや

キーはCメジャーで、本来のドミナント(V)はGです。
Aメロの3小節目D7(II7)がダブルドミナントに当たります。

楽譜(元気を出して)

特徴的なのは、4小節目でベース音がGへ動いていますがコードは『Dm7→G7』と進行しています。
このように、ダブルドミナントの後にIIm7→V7のようなツーファイブと呼ばれるコード進行を差し込むパターンはよくあります。

まとめ:ダブルドミナントを自由に使おう

ダブルドミナントは、ドミナントを一時的なトニックと見立てた際のドミナントに当たるコードでした。
『ドミナントに対するドミナント』と言い換えることもできますね。

また、通常のドミナント(V)はプライマリードミナントと呼ばれていて、ダブルドミナントのようなその他のドミナントをセカンダリードミナントと呼びます。

関連記事

ダイアトニックコードを知っていると以前よりも簡単に作曲を行うことができますが、そればかりに頼ると単調な曲になってしまうこともあります。 そこで、表現力や独自性を広げる一つの手段としてダイアトニックコードでない、ノンダイアトニックコード[…]

この記事では、ダブルドミナントが使われた楽曲や使い方を紹介しましたが、必ず同じようにする必要はありません。
まずは自由にダブルドミナント(II)を取り入れてみましょう。


ここまでの内容をQ&A形式でおさらいしていきましょう。

ダブルドミナントとは?
あるキーのドミナントコードを一時的なトニックと見立てた際に、そのドミナントに当たるコードです。Cメジャーキーで言うと、通常のドミナントGの5度上のD(D7)がダブルドミナントに当たります。詳しくは『ダブルドミナントとは』をご覧ください。
ダブルドミナントが使われているヒットソングはある?
Mr.childrenの花火や、竹内まりやの元気を出してなどたくさんあります。ジャズでもまた頻繁に使われています。詳しくは『ダブルドミナントが使われた楽曲例』をご覧ください。
ダブルドミナントはどうやって使う?
簡単なのは、Ⅴに向かうIImをII7に変換する方法と、Vに進行する前にII7を差し込む方法です。柔軟に取り入れていきましょう。詳しくは『ダブルドミナントの使い方』をご覧ください。
{ "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [ { "@type": "Question", "name":"ダブルドミナントとは?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"あるキーのドミナントコードを一時的なトニックと見立てた際に、そのドミナントに当たるコードです。Cメジャーキーで言うと、通常のドミナントGの5度上のD(D7)がダブルドミナントに当たります。詳しくは『ダブルドミナントとは』をご覧ください。" } }, { "@type": "Question", "name":"ダブルドミナントが使われているヒットソングはある?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"Mr.childrenの花火や、竹内まりやの元気を出してなどたくさんあります。ジャズでもまた頻繁に使われています。詳しくは『ダブルドミナントが使われた楽曲例』をご覧ください。" } }, { "@type": "Question", "name":"ダブルドミナントはどうやって使う?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"簡単なのは、Ⅴに向かうIImをII7に変換する方法と、Vに進行する前にII7を差し込む方法です。柔軟に取り入れていきましょう。詳しくは『ダブルドミナントの使い方』をご覧ください。" } } ] }