このサイトでは、以前ディミニッシュコードについて解説しました。
今回の内容は、ディミニッシュと混同しがちな、ハーフディミニッシュと呼ばれるコードついてです。
ハーフディミニッシュがどういったコードで、ディミニッシュとどう違うのか。
また、どの様に使えばいいかを解説しています。
ハーフディミニッシュとは
ハーフディミニッシュとは、ルート,短三度,減五度(dim5),短七度で構成されるセブンスコード(四和音)で、「マイナーセブンスフラットファイブ(○m7-5)」とも呼ばれます。
単体で聞くと、暗く悲壮な響きを持ちますが、よく似たコードであるディミニッシュセブンスに比べると癖が強くないと感じる方が多いでしょう。
例として、『Cm7-5』を聞いてみましょう。
このコードは、「Cハーフディミニッシュ」あるいは「Cマイナーセブンスフラットファイブ」と呼ばれます。
メジャーダイアトニックコードの七番目、あるいはマイナーダイアトニックコードの二番目のコードに当たりますが、時にノンダイアトニックコードとしても登場します。
Cメジャーキー
Cマイナーキー
ハーフディミニッシュとディミニッシュとの違い
ハーフディミニッシュとよく似たコードに、ディミニッシュセブンスがあります。
この2つのコードの違いを簡単に言うと、「ディミニッシュセブンスの方が癖が強い」コードです。
コードの構成音を見てみましょう。
ハーフディミニッシュの構成音は、ルート,短三度,減五度(dim5),短七度でした。
たいして、ディミニッシュセブンスは、ルート,短三度,減五度(dim5),減七度です。
コード | 構成音 |
---|---|
Cm7-5 | C,E♭,G♭,B♭ |
Cdim7 | C,E♭,G♭,B♭♭ |
この構成音の違いから、ディミニッシュセブンスのほうが緊張感が強く、はやく安定したコードに戻りたい力も強く持ちます。
そのため、ドミナントの代理としてよく使われます。
ハーフディミニッシュもドミナントとして機能することもありますが、コード進行の前後によってさまざまな役割で使われます。
ハーフディミニッシュの使い方
ハーフディミニッシュは色々な場面で使われるコードで、その役割もいろいろです。
例えば、ある時は「ドミナントセブンスの代わり」ですが、ある時は「経過和音的」に使われたりします。
本記事では、場面に応じたハーフディミニッシュの役割を以下の通り5つのパターンに分けで紹介します。
- VIIm7-5→I(ドミナントセブンスの代理)
- IIm7-5→V7→Im(マイナーツーファイブワンのIIm)
- IIIm7-5→VI7→IIm7(リレイテッドIIm)
- VIm→V→#IVm7-5(トニックの代理)
- IV→#IVm7-5→V7→I(経過和音、ダブルドミナント)
VIIm7-5→I(ドミナントセブンスの代理)
ダイアトニックコードのVIIm7はドミナントセブンスの代理コードとして機能します。
そのため、半音上のトニックへ解決する力を持ちます。
IIm7-5→V7→Im(マイナーツーファイブワンのIIm)
下のコード進行を、Aマイナーキーの楽曲として捉えると、トニックであるAm7にマイナーツーファイブのモーションをしています。
ツーファイブのIIm7-5として使われるハーフディミニッシュは、サブドミナントとしての機能を持ちます。
IIIm7-5→VI7→IIm7(リレイテッドIIm)
先ほどのツーファイブ同様、リレイテッドIImとしてもよく使われます。
下の譜面は、Cメジャーキーの進行です。
Dm7に対するセカンダリードミナント『A7』をV7と捉えた際にIImにあたるのがリレイテッドIImです。
VIm→V→#IVm7-5(トニックの代理)
メジャーキーの主音から見た『#IVm7-5』は、トニックの代理として使うこともできます。
IV→#IVm7-5→V7→I(経過和音、ダブルドミナント)
先ほど同様『#IVm7-5』ですが、IVM7からルートだけを半音上げたコードとも言えます。
そのため、下譜例のように、IV→Vの進行の間に入る経過和音としてよく用いられます。
また、Vに対するセカンダリードミナントII7(ダブルドミナントとも言う)と構成音が似ているため、ダブルドミナントとも解釈できます。
ハーフディミニッシュに関するよくある疑問
- なぜ「ハーフディミニッシュ」と呼ばれるの?
- ハーフディミニッシュの記号は?
- ハーフディミニッシュの別名は?
なぜ「ハーフディミニッシュ」と呼ばれるの?
まず、ハーフディミニッシュというコードが生まれる前に、ディミニッシュというコードが定義されていたため、区別した呼び名となっています。
では、なぜハーフなのか。
ディミニッシュと、ハーフディミニッシュの構成音を見てみると、7度に違いがあります。
ディミニッシュは5度に加えて7度も『減の音程』になっているのに対し、ハーフディミニッシュは7度が『減の音程』ではありません。
ちょうど『減』度合いが半分になっていることが分かります。
コード | 構成音 |
---|---|
ディミニッシュ | ルート,短3度,減5度,減7度 |
ハーフディミニッシュ | ルート,短3度,減5度,短7度 |
こうした理由が、ハーフディミニッシュの名の由来になっているという考えが一つとしてあります。
ハーフディミニッシュの記号は?
まず、ディミニッシュは『o』の記号で表されます。
例えば、Cdimであれば『C°』となります。
ハーフディミニッシュは、ディミニッシュの記号を半分に割った様な形『ø』で表されます。
Cm7-5であれば、『Cø』となります。
また、『ø』ではなく『φ』でも問題ありません。
ハーフディミニッシュの別名は?
ハーフディミニッシュは、「マイナーセブンフラットファイブ」と呼ばれることもあります。
どちらも全く同じ構成音のコードです。
まとめ
ハーフディミニッシュは、他のコードにくらべ使用頻度が少なくあります。
ただ、使い方次第でさまざまな機能を持たせることができるため、コードアレンジの幅がグッと広がります。
【Q&A】記事のおさらい