音楽理論とはどんなもの?知識0~中級者までの効率的な学習順序を解説

執筆者: エルエミュージックセオリーでは、楽典や音楽理論の分野に関わる情報を発信しています。これらは、楽曲の分析や作曲、演奏をする上で必要な知識で、より深く音楽を理解し解釈することができます。音楽学校をでたライターにより執筆を行い、適宜情報を修正しながら運営してまいります。

「音楽を理解するためには、どうやら『音楽理論』というものが必要らしい。」
楽器を弾いていたり、作曲をしている人であれば、そんなシーンに出くわすこともあるでしょう。

とはいっても、音楽理論を知らなくても楽器を練習することはできますし、作曲をすることもできます。
よくテレビに出るアーティストなんかを見ると、感覚だけで曲を作っているようにも感じます。

さて、では音楽理論というものに学習の必要性はあるのでしょうか。
あるとしたら、何から始めていけばいいのでしょうか。

この記事の内容

  • 音楽理論はどういったものか
  • 音楽理論に学ぶ必要性はあるのか
  • 脱初心者までの、音楽理論の学習順序

音楽理論とは?どんなシーンで必要になるのか

音楽理論とは、「楽曲がどうのようにしてできているのか」その構造と仕組みの法則性を体系化させたものです。

御幣を恐れずにざっくり行ってしまうと、「この楽曲ってこんな考え方で作られているんだよ」と説明するためのルールのようなものなのです。

とはいえ、厳密なルールが全世界で共通化されているわけではなく、クラッシック由来の理論であったり、ジャズ由来の理論であったり、人によって教え方・考え方が違かったりしますので、例えば一つのコード進行においても様々なな意見が飛び交うようになりました。

決して音楽理論は正解ではありません。そもそも音楽という芸術には『正解がない』とも言えます。

えるるん
まず音楽ができて、それを分解分析するための解釈が音楽理論としてまとめられてきた。
でも結局、作り手がどんな考えで作曲していたかの想像はできても、それが正解の考え方とは限らない。
もちろん想像だから、いろんな意見が出てくるのも当然だよね。

音楽理論は必要か?

音楽理論を理解していなくても作曲はできますし、そういったアーティストも多数存在します。
であれば、「音楽理論は必要ないのでは?」と考えるかもしれません。

結論、「絶対に必要ではないが、知っているに越したことはない」考えています。

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音楽理論を学ぶ順序

さて、いよいよ音楽理論を学んでいきますが、まずは学びの手順を知ることと、全体感を把握するところから始めましょう。

音楽には専門用語が多くつかわれるため、順序を考えてうまく学んでいく必要があります。

エルエミュージックでは、中級者までの道のりをstep1~step16までに分けて考えています。
それぞれに詳細な記事のリンクを張っておきますので、順番に学習していきます。

step1.音の名前(音名)を知る

すでに知っている方もいるかと思いますが、音には『音名』という名前が付けられています。

「ドレミファソラシ」も音名ですが、これはドイツ式の音名であり、日本式は「ハニホヘトイロハ」です。

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step2.音程を知る

「ドとレ」「ドとミ」では、音との距離に違いがあります。
ピアノ鍵盤を見ればすぐわかるでしょう。

こうした音と音との隔たり(距離)を音程と言います。

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step3.スケールを(音階)を知る

ある音から1オクターブ上の同じ音までをひとまとまりとして、間の音をなんらかの規則性に基づいて埋めた音の並び(音列)スケール音階と言います。

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step4.キー(調)を理解する

私たちが普段聞く音楽のほとんどは、『キー調』と言う概念を元に作られている調性音楽というものです。

キー(調)とは、どの音が中心にあって、どんなスケール(音階)を軸に作られているかを示したものです。
調があると、「この音は安定している」「この音はこの音に進みたくなる」など、音それぞれに性格が生まれます。これをトーナリティ(調性)といいます。

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step5.コード(和音)を知る

同時に鳴らされる2つ以上の音をコード(和音)と言います。
基本的には、3音のコード(トライアドコード)、4音のコード(セブンスコード)が使われます。

またコードは、明るい響きのメジャーコードと、暗い響きのマイナーコードに大別できます。
その他、特殊なディミニッシュコード、アーギュメントコード、サスフォーコード、アドコードなどがありますが、使用頻度は比較的少ないでしょう。

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step6.ダイアトニックコードを知る

例えば、Cメジャーキーの曲であれば、Cメジャースケールを軸に作られます。
この軸となるスケールはダイアトニックスケールと呼ばれます。

このダイアトニックスケールをもとに作られる七つのコードをダイアトニックコードと言います。

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step7.コードの機能を知る

Cメジャーキーで考えてみると、Cコードはとても安定して落ち着いて聞こえますが、GコードはCコードの様に落ち着き感がなく、緊張感が高い様に聞こえます。

単に、Cコードを鳴らすよりも、GコードからCコードのコード進行にした方が「緊張→弛緩」の流れができ、何かストーリーが生まれた様に感じます。

これはコードに、「緊張させる役割」や「落ち着かせる役割」などがあるということです。
あるキーにおける、コードの役割をコードの機能と言います。

コードの機能は、トニック・サブドミナント・ドミナントの3つに分けられます。

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step8.ドミナントとトライトーン

コード機能のドミナントについて、理解を深めていきましょう。

ドミナントの構成音にはトニック(主音)の半音下の音(導音)があり、トニックコードに半音で進むことで解決感(ひと段落した感覚)が生まれます。

ただ、三和音のドミナントは四和音のドミナント(ドミナントセブンス)に比べると解決感が薄くなります。

ドミナントセブンスが大きな解決感を生むのは、トライトーンという非常に緊張感のある音程が含まれるためです。
このトライトーンがトニックコードの構成音に半音で解決することが重要になります。

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step9.ディミニッシュとオーギュメント

単純なメジャーコードとマイナーコードではない、ディミニッシュとオーギュメントについて理解しましょう。

ディミニッシュコードは、主音から短3度づつ積み上げたコードです。
三和音のコードをディミニッシュ、四和音のコードをディミニッシュセブンスと言います。

オーギュメントコードは、メジャーコードの完全5度の音が半音上がった形で、3つの音がそれぞれ長3度の間隔で重なっている特徴があります。

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step10.調と調の関係を知る

ある調から見た別の調には、関係が近しいものと、遠いものがあります。

関係の近い調を近親調(関係調)、遠い調を遠隔調と呼びます。

後に解説する転調を行う際、こうした調の関係性を知っておくと便利です。

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step11.同主調と並行調

近親調の中でも、もっとも近し関係の調に同主調と平行調があります。
転調でも頻繁に使われるため、学習しておきましょう。

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step12.転調とよくある転調法

転調とは、楽曲の中で調を変える手法です。
例えば、「Cメジャーキーの楽曲だが、サビはFメジャーキーに転調する」といった具合です。

転調は、雰囲気をいっぺんさせたり、高揚感を高めるなどの効果があります。

好きな楽曲や有名曲を参考に転調のパターンを知っていくと、より転調について理解できるかと思います。

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step13.ノンダイアトニックコードという概念を知る

前述したダイアトニックコードに属さないコードを、ノンダイアトニックコードと言います。

ノンダイアトニックコードを使えば、さらなる緊張感や不安定感を出し、より奥深いストーリーを世界観を演出できます。

ダイアトニックコード以外のコードは、みなノンダイアトニックコードと言えますが、無秩序に扱うと元の調性をそこねえて雰囲気を崩壊させかねません。

そのため、ノンダイアトニックコードには、以下の様な理論に基づいたものがよく使われます。

er-theory

私たちがよく耳にする楽曲の大半部分はダイアトニックコードで構成されています。 ダイアトニックコードはその調性内で安定的に…

step14.セカンダリードミナント

セカンダリードミナントとは、任意のダイアトニックコードを一時的なトニックと見立てた際に作られるドミナントコードです。

例えば、CメジャーキーのドミナントはG(あるいはG7)ですが、Dmを一時的なトニックと見立てれば、本来AmのコードをA(あるいはA7)とすることができます。

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step15.裏コード

裏コードとは、トニックへと進行するドミナントセブンスの代わりになるコードです。
ドミナントセブンスから見て増4度上のセブンスコードが裏コードに当たります。
トニックから見ると♭II7になるため、半音下降で解決できるなどの特徴があります。

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step16.モーダルインターチェンジ

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モードが変わればノンダイアトニックなコードが生まれますので、コード進行の幅が一気に広がります。

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